春の心、囀ずり知らず-3
「……うん」
おいし、と涙目で頬張る紗英さんにアリガトと笑いながら
いつか俺が養ってあげたいなぁ
つーか俺のために辞めていいって思ってくれる日が来ないかなぁ…
とかぼんやり思いながら、紗英さんお気に入りのフレンチトーストを焼くために立ち上がった
そろそろひたひたに染みて美味しくなるころだろうし
好きな人とずっといるために、俺にはあと何が必要なのかな
とりあえず……貯金はしとくかな
「紗英さーん、フレンチトーストには紅茶?コーヒー?」
「ミルクティー!」
とりあえずは……やっぱり元気なアナタが好きなんです
よっ…と
ひっくり返したフレンチトーストはこんがりキツネ色で我ながら惚れ惚れする出来だった