【私のビョーキ】-9
「ユッキー、帰っちゃうの?」
苛立った私の声に不安になったのか、アッキーは寂しそうにこっちを見る。
オレンジジュースを飲んでしまった彼は、ストローで氷を溶かしていたのをやめて、私の隣に来て、昨日と同じように服の裾を掴む。
「……そんなことないよ。今日は羽を伸ばそうと思っただけだよ。だからアッキー、カッコイイ服選んであげるね」
「うん。ユッキーありがとう」
私が微笑むと、アッキーもにっこりと笑う。
あはは、バカな私。ここで帰ったところで、アッキーが寂しい思いをするだけじゃない。
小学生のアッキーが私を懸命に守ろうとしたのに、中学生の私がどうしてそれをわかってあげられないんだろう。なら、せめてアッキーの楽しい時間を守ってあげるね?
私は運ばれてきたヒレカツセットに手を合わせると、遠慮なくいただくことにした。
***−−−***
アッキーを使っての着せ替えは意外と楽しい。
ジュニアモデルの真似事をさせてみたり、お坊ちゃまな恰好をさせたり、スカートを履かせようとしてみたりと、とにかくネタが尽きない。
黒のスパッツは動きやすそうだし、中性的なアッキーには似合うと思う。私はアッキーに着せようと、試着室に入る。
まだ着替え中のアッキーは下着姿だったけど、小学生の裸なんて別に問題ないよね?
「ちょっとユッキー、まだ着替えてるんだから入るなよ!」
だけどアッキーは真っ赤になって怒る。しかも、必死になって白いパンツの前を隠すもんだから、私もついムキになってしまう。
「あ、今なに隠した? ユッキーに見せなさい」
「何も隠してないよ」
「本当? 万引きとかしてないでしょうね? 怪しいから見せてもらうよ」
アッキーがそんなことをするはずも無い。というか、下着姿で何を隠すかぐらい、私にだってわかる。せいぜい内気な象さんぐらいでしょ?
「ちょ、やめろよユッキー、怒るぞ」
「もう怒ってるでしょ? いいじゃない、それぐらい」
たかが子供のオチ○チンくらい、海水浴場でも温泉でも見かけるわ。
ん? じゃあ、なんで見ようと思ったんだろう?
私は矛盾する気持ちを持ちながら、とりあえず彼の手をどかし、こんもり盛り上るブリーフの先を見る。
少し滲んでいるけど、おしっこ臭さと別の匂いがするような。
なんていうか、野菜とかそういう青い感じの、たまに道端を歩いていて嗅いだような……、秋ごろかな? あるよね、こういう匂い。
「なに隠してるの? もう、アッキーったらイタズラっ子なんだから」
きっとこの中にはふにゃふにゃのオチ○チンがあるのよね?
私は軽い気持ちでそれを弾く。