「懊悩の果て」-2
「こ、校長室では」
舞は震えながら口を開いた。
「編入試験の、つっ、続きをしてるの」
それはあながち間違いではない。
尤も、一般に想定されるような“試験”とはかけ離れた内容ではあったが。
「ふぅん。そうなんだ。別所さん、学期の途中に転入してきたもんねぇ」
理解を示した露木の返答に舞は力を得る。
「そうなの。急に転校が決まったから手続きとか色々と間に合わなくって」
不意に肩が軽くなった。
「でも、それってエッチなこととかする必要あるの?」
そのまま背後から露木にホールドされて、舞は身動きを取れなくなった。
「ボク、偶然見ちゃったんだ。ダメだよ。窓はちゃんと閉めとかないと」
舞に回された腕は増々キツく絞まっていく。
「カーテン閉めたって、風があったら窓の中は覗けちゃうんだから」
耳に唇が触れるくらい近くで露木は言葉を紡いでいく。
いつのまにか露木の手は舞の胸を撫で始めていた。
「別所さんってオッパイ大きいよねぇ」
舞が抵抗しないことが分かったのか、露木は制服の上からではあるが、大胆に胸を揉み始めた。
「ねぇ、何カップくらいあるの?」
セクハラにも近い露木の言葉に、舞は辛うじて抵抗を示す。
「露木くん、止めて。お願いだから」
その舞の懇願は一見、露木に届いたかに見えた。
舞の胸から離れた手は再び肩に置かれた。
「じゃあ、肩揉みしてあげるよ。オッパイ大きい子って肩凝るんでしょ?」
先程、胸を揉み上げたのと同じように露木は舞の肩を揉んでいく。
その手の動きはねっとりとしており、露木の性格を表しているかのようであった。
「も、もういいから。露木くん、ありがとう」
そのおぞましさに耐えきれなくなり、舞は直ぐに終息を告げた。
しかし、露木には不満だったようである。
「えぇっ。別所さんは、ボクの肩揉みじゃ満足できないのぉ?」
ワザと延ばされた語尾が、露木の逆立った神経を露呈させている。
「んっ、ううん。そんなことない。スッゴく気持ちよかったよ」
舞は慌ててフォローを入れる。