トースト・トースト-5
「ジャム、あんたにチョコレートあげたかったみたいよ」
「え?」
「食べられなくたって、貰えるだけで嬉しいじゃない。ちょっと催促してみたら?」
「だ、誰が!」
エイジが明らかに動揺したように言った。
「第一あいつの作ったもんなんて、食えたもんじゃねえよ!」
実際、彼女がキッチンに立ったところを見たことは一度もない。
三人の中で料理がまともにできるのがダナだけだから、アジトで夕飯を取る時にはいつも彼が料理当番だった。
甘党であるせいで、味付けがたまに甘くなったり濃くなったりするのが難点であったが。
「あー、もう! 早く寝ろ! 明日チョコレート作りすんだろ!?」
そう言ってエイジがダナを部屋から追い出すように押しやった。
バタン、と勢いよく閉められたドアを見て、ダナは再び呆れた様子で肩を竦めたのだった。
「本ッ当、素直じゃないわねェ」