僕とあたしの夏の事件慕? 最終話 「あたしの事件慕」-5
「どうしたの? 真琴……」
そういえば、誰かに苛められたり、からかわれた後の真琴はいつもあたしに泣きついてきたっけ……これもさっきの続きと考えれば納得いく。あたしと真琴の習性みたいなものだしね。
「僕は澪のことが好き……。なのに……僕……」
「ほらほら、泣かないの。真琴は男なんだから……」
「うん。そうだね、僕は澪を守らなきゃいけないんだし、いつまでも泣き虫じゃいられないよね」
涙を拭く真琴が何を後悔しているのか、あたしには想像がつく。
あの三日間、真琴になにがあったかは知らない。けど、真琴が男の子から男になったのは知ってる。それはとっても誇らしくあり、切なかった。
起き上がろうとする真琴をあたしは逃がすつもりなんかない。
腕を回して引き寄せる。ついでに逃げられないよう、きりもみになって体勢を入れ替える。
「澪?」
きっと何が起こったのかわかってないんでしょ? いま、真琴は捕まってるの。
「真琴とあたしは幼馴染で友達以上……それでいいの?」
あたしの精一杯の強がり……これ以上は、どうすればいいのか知らないもの。
「それとも……怖い?」
挑発するように言うけど、真琴はまだ何かに戸惑ってる。
「澪は僕のこと……」
「わかるでしょ? それぐらい……」
そんなこと気にしてたの? ふふふ、結局あたしのことなんかわかってないんじゃない。
いつもは澪のこと何でもわかるとか言っておきながらさ!