想いのいきつく果て-5
「紘子が5歳も年上なんて信じられんわ〜」
「うっ・・・(10も上って言ったら驚くだろな)」
「紘子、可愛いな、ほんま。まっとってくれてありがとな」
「う、うん」
ほんと、しのは年下に感じないよ、なんでだろ・・・
「それに、普通な、女だったら待っとったことアピールするで」
「え?なんで?」
「おまえなぁ〜」
しのがため息つきながら呆れてる。
「女なら、待ってたのにとか、文句言ったり、アピールしたりするで普通。」
「そ、そおなの?」
私の中では、まだ知り合って間もない人にそんなん言えないし、なんてったって私人妻じゃんという気持ちがある。
だから言わないだけだと思うんだけどな。
「普通そやで。ちゅうか、俺ん周りはそんなんばっかやで」
「ふーんそっか。じゃあ今度は言うよ」
「あほか。
宣言することちゃうで」
しのは笑いながら半分呆れてるような・・・
「ただな、俺、めっちゃ嬉しかったんや。
なんも言わんと待っとってくれたん。」
「うん。」
「ほんま、紘子みたいなん今までおらんよ。貴重やな」
「そっかな。」
何か恥ずかしいな、こういうの。
「だからな、こんな感じでええから、俺のそばおってな。」
「・・・え・・・」
「紘子には迷惑かけんし、人妻やしな。
それに大阪と東京で離れてるしな。
だからたまにメールとか電話とかでええから。な?」
「しの・・・」
しのの言い方があまりに切なげで、私まで苦しくなって言葉が思いつかない。
嬉しいという感情だけじゃない、別の感情が心の中に芽生えはじめた。
あの日、しのと電話で話してから、毎日のように、メールのやりとりが続いている。
そして段々とメールだけじゃ物足りなくなり、いつしか電話まで・・・
お互いの『声が聴きたい』という気持ちが強く、自然と電話するようになった。
話せば話すほど、しのに惹かれてく自分がいた。
いつものように電話していると、唐突にしのが言った。