トライアングル 1-1
「たろ」と「もーり」、2人と会ったのは居酒屋だった。
元気の良い男の子達と隣合わせたのだ。
「お姉さんたち、盛り上がりが足りないよ〜〜!」
「なになに、あんた達どこの学校よ。」
「俺はたろ。自由業なんだ。」
「こいつはもーり。こいつも自由業。」
「うっそぉ!あんた達、まだ子供じゃない。」
「子供はないよ!俺は16、もーりは15だ。」
「やっぱ子供じゃない。ここは子供の来るところじゃないよ。」
「なに言ってんの?お姉さん達だって未成年でしょう?」
「あはははは、分かる?でも、高校卒業したから大人よ。」
「あ、いいなあ。高校生活憧れるよね。どこの高校?」
「KO」
「え、うっそお!賢いじゃん。」
「そんなお勉強高校に、お姉さんみたいに綺麗な人いないでしょう?」
「あら、それが居るのよ、ここに。」
たろともーりの弾けるような明るさにつられて、店が閉まるまで騒いだ。
たろは車を持っていた。兄の車だと言う。もちろん無免許だ。
たろともーりは海で騒ごうと花火と缶ビールを買い込んでいた。私は友達と別れてたろ達の車に乗り込んだ。
私は高校を卒業し大人の世界に憧れてはいたが、それでもまだまだ子供だった。
それまで朝まで騒いだことなどなかったし、無免許の車にも、飲酒運転の車にも乗ることなど考えられなかった。
たろともーりは、「いいやつ」と表現するのがピッタリだった。二人とも優しく可愛く元気の良い男の子だった。とくにたろは私のお気に入りだった。
気が付いたら明るくなっていた。車の中で寝てしまったのだ。
風に当たるため、車を出ると、たろが置き出して来た。
「よく寝た。お姉さんは?」
「うん。風が気持ち良い!」
「今日は大丈夫だったの?送って行こうか?」
「ううん。今日は何もないから。」
「そっか。」
「お姉さんのこと好きになっても良い?」
「・・・・・・・」
「私は和美。何も知らないのに良いの?」
「和美ちゃんいい娘だし。俺、好きだよ。」
「・・・・・・・」
「良いよ。好きになっても。
でも、ライバル多いかも?」
「ええええ! そうなの?」
その日、たろの部屋で抱かれた。
私は処女だった。2年付き合った彼氏の誘いを拒んでいたのに。デートに誘ってくれる社会人も何人かいたのに。そうすることに抵抗がなかった。
たろは素直で可愛かった。
「たろ。私、初めてなんだ。」
「え、本当?
お、俺、上手く出来るかな?」
「そんなにオロオロしないの!」
「俺、感じやすいし。落ち着いてできるかな?」
「きっと大丈夫よ。心配しないの。」
「でも、責任重大だよね。」
「そうよ。もてもての和美の処女なんだから。大切にしなさいよ。」
「分かった。」
たろは、深々と頷いた。