二個目の苺〜アーモンドクッキー〜-3
「あの…」
「何?」
「あの、駄目だったらいいんですけど、愁さんの家は今日御都合悪いですか?」
私の言葉に、愁さんは突然立ち止まって私をじっと見た
…今までに見たことがないくらい、攻撃的な瞳で
「あ…し、愁さ…」
「僕の事を、探りたいの?」
「いえ、あの…私…」
怖くて言葉が上手く出てこない
どうしよう…どうしよう
調子に乗りすぎて、怒らせてしまった
こんなに…
どうしよう!
私が口をぱくぱくと動かしていると、愁さんがふっ、と穏やかに微笑んで私の頬を優しく撫でた
「ごめんね、怖がらせてしまったかな?」
愁さんの笑顔に私も心から安堵する
「い、いえっ私こそ、こんないきなり、すみません」
「いや、謝ることじゃないよ…
僕の家に、来る?」
「え…いいん、ですか?」
「うん、別にたいしたものは何もないんだから、構わないよ…」
愁さんの言葉が気になったけど、穏やかな愁さんに嬉しくなって、そんなことはすぐに通り過ぎてしまった
「…わ、あ」
これが、愁さんの家…?
目の前にある豪邸に今から入るなんて、信じられなかった
「誰もいないから、遠慮せずに入って」
「え、そうなんですか?」
こんなに大きいのに…
「父はほとんど帰ってこないから。僕もいつもは『A.S.』で寝ているからここにはあまり帰らないしね」
「あ…あの、お母さんはどうしてるんですか?」
私の言葉に愁さんがまた立ち止まった
「…何?よく聞こえないな」
顔は見えないが、鋭い声に再び私の身体は凍りつく
「い、いえ…何でも、ありません」
「そう…」
お母さんのこと、聞かない方がいいのかな…?
愁さんはすたすたと歩いていき、郵便受けをちらりと見た
そこには郵便物がいくつか入っている