『お宝は永久に眠る』-6
『はぁ……はぁ……』
二人は肩で息をしながら、力尽きるように机に突っ伏す。
それでも二人の顔には、お互いの気持ちを受け渡した達成感で恍惚の表情が浮かんでいた。
「……好きだ。大好きだ、メニール」
汗ばんだ赤い髪を撫でながら伝える言葉は、どこか面映ゆい。
その理由は、彼女が一番知っていた。
「初めてじゃないか? 好き、だと言ってくれたのは……」
「そうだっけか? 覚えてねぇや」
「酷い男だ。どうして、私はこんな男を好きになってしまったのだろうな」
行為の余韻から思わず口を突いて出てしまう馬鹿げた言葉。そんな会話をしながら、笑い会う二人。
たぶん、理由などないのだろう。
理由もなければ絆もない二人だからこそ、それを作るために愛し合う。愛し合うが故に、交わらぬ道であっても歩き続けられるのだ。
「君は、本当にこんな女でも良いのか? こんな私を、好いてくれるのか?」
もう一度、それを確かめるために彼女は問う。
信じたければ何度でも問え。その度に応えよう。
「例えお前がトレジャーハンターでも、俺はお前を愛す」