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フニと僕の成長記
【家族 その他小説】

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フニと僕の成長記2-2

「フニ、良かったねー」

僕たちが『おやつ』と呼んでいるのは犬用のおかしのことで、クッキーとかガムとかビーフジャーキーとか、ドッグフードを食べた後、フニにたまに食べさせているんです。
フニはおやつが大好きで、いつもは半分しか開いてない瞳を目一杯開いて袋の中を覗いています。

「フニの好きなクッキーでしょー。あ、ジャーキーもあるよ!」

僕が袋から取り出す度にそれらをキラキラの目で追い掛けています。

『わぁ〜…わぁ〜…』

フニはおやつに夢中です。そのキラキラの瞳にはおやつしか映っていません。おやつがフニの心を掴んで離しません。
一瞬フニの目がキランと一際輝きました。刹那、フニはお気に入りのジャーキーを口にくわえると物凄い勢いで自分の餌受けまで持っていきました。

「あっ、フニ!」

僕は驚いて立ち上がるとフニはそれの前に行儀よくお座りをしていました。その足元にはジャーキー。千切れそうなぐらい尻尾を振りながら

『これちょーだい。フニ、いいコでオスワリしてるじゃん。だからこれ、たべさせてちょーだい』

と訴えてきます。
僕とお母さんは目配せをして少し笑いました。

「じゃフニ。それ持ってこっちおいで」

僕がソファに腰を下ろすとその足元に、くわえていたジャーキーの袋をパサッと置き、その隣で期待に満ちた目で僕を見上げてフニはお座りします。
そして充分過ぎる程ジャーキーを食べ終わると、フニはすぐに丸くなってスゥスゥと寝てしまいました。




そしてさっきのこと。
今日は朝から雲行きが怪しくお昼なのにも拘わらず薄暗い日でした。
僕が小学校を出た頃に降りだした雪は今や、風の力を借りて槍のように突き刺さってきます。
例のごとくスピーディーなお散歩を終わらせた僕は、ご飯を食べお風呂に入り少しテレビを見て布団に寝転がっていました。寒くて寒くて僕はフニみたく丸くなります。
風雪を受けてガタガタと窓が揺れました。

─カシャ、カシャ。

窓が揺れる音に混ざって部屋の戸を引っ掻く微かな音がしました。

『うぅ、こわいよぅ…』

戸を開けると泣きそうな目でフニが僕を見上げています。お父さんとお母さんの部屋からここまで歩いてきたようです。
僕はフニを抱き抱えてまた布団に潜り込みました。僕の腕の中でブルブルとフニは震えています。顔を僕の体にくっ付けてすごく怖がっているみたいです。
確かに窓はガタガタいってますけど、何をそんなに怖がっているんだろうと思ったその時です。
部屋の中が昼間のように明るくなりました。直後、体中がビリビリと鳴るほどの大きな雷が轟きました。
これには僕もさすがに驚いて、目を瞑ってしまいました。
なるほど。
フニにはこの雷が鳴るのが分かっていたのでしょう。
フニは雷も大嫌いです。大きな音が怖いのです。


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