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あなたを知りたくて
【学園物 恋愛小説】

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あなたを知りたくて-8

「ひっ…!」

恐怖が最高潮に達していた美月は思わず悲鳴を上げた。

「お前なぁ…。そんな声出すな」

さっきの詰問調の固い声とは違い耳元で響く優しい声音に美月は肩の力を抜いた。

「瀬尾?」

「だって…せんせが怒ってるって…言った…から…」

しゃくり上げながら言う美月の肩に顎を乗せた谷川は左手で美月の頭を抱き寄せた。

「せんせ…?」

「あー!もーだめだ!」

涙を拭って僅かに首を動かし谷川を見ようとする美月の頬に谷川の唇が触れた。

「せっ!」

何をされたかを悟った美月は真っ赤になった。

「お前、可愛すぎ」

「せんせっ!離してよ!」

腕の中でもがく美月に谷川は

「だーめー」

とガッチリ抱き締める。

「瀬尾はさ、俺に言う事あるだろ」

「えっ?」

頭から湯気が出そうなぐらい熱くなってる美月は谷川の言う事がわからない。

「俺が満足する言葉を言わないと離さない」

満足する言葉?!
何、それ?!
わかんないよぉっ!

また泣きたくなってきた美月は思い切り言い放った。

「せっ、せんせが好きっ!」





静けさが部屋を満たす。

もう恥ずかしいやら泣きたいやらでグチャグチャの感情でいる美月はこの静けさに耐えれなくなった。

「何とか言ってよぉっ…」

震える声で言った美月の耳に谷川の笑い声が聞こえた。

笑われたのは自分がバカな事を言ったからだと恥ずかしくなった美月は力の限り谷川の腕の中で暴れた。

「もぉっ!離してよ!」


「俺も好きだよ」

暴れ、もがいていた美月はピタッと動きを止めた。

「嘘つき…。だって笑ったじゃない…」

谷川は美月を離し、椅子をクルリと回転させて向かい合わせた。


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