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あなたを知りたくて
【学園物 恋愛小説】

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あなたを知りたくて-7

あの日以来、美月は谷川の元に行っていない。

谷川に対する興味は今や恋心の域まで達していたが、それを認めるのも、それを押し隠して谷川の元に行くのも躊躇われた。

このまま、準備室での谷川に触れなければ忘れられるんじゃないかと思っていたのに当の谷川に呼び出されるはめになってしまった。

せんせは一体何を考えてるの…?

呼び出しをすっぽかそうかとも考えた美月だが、谷川が何のために自分を呼んだのかへの好奇心もあって結局準備室の前に立っている。


今日もコーヒーの香り…。

そっとドアを細く開いて中を覗くと谷川が窓際でプリズムを弄んでいた。

静かにドアを閉じて、1つ深呼吸をしてからノックして開けた。

「瀬尾です」

「入って」

谷川の声に緊張と胸の高鳴りで足が震えている。

ドアを閉めたのはいいが谷川の方を向けずそのままでいると向こうから近寄ってきた。

谷川が無言で部屋の鍵を閉めたのを見て思わず振り返る。

「せんせ…?」

今まで鍵を閉められた事がなかった美月は不安で泣きそうになった。 

手を取られ、いつも座っていた谷川の向かいの椅子に連れて行かれる。

「座って」

仕方なく腰を下ろし谷川の後ろ姿を見つめた。

コーヒーを出すと谷川も席に着き眼鏡を外した。


「何でずっと来なかったんだ?」

いきなり核心を突かれて美月は下を向いた。

『せんせを好きになりました』なんて言えるはずもない。

「瀬尾?聞いてんだけど」

美月は拳を握った両手を膝に置いてただ首を振った。

「それじゃわかんないんだけど」

今日のせんせは意地悪だ…。
何でそんな怒ってるみたいに言うの?

「怒ってるの…?」

ようやく口にした美月に追い打ちをかけるように谷川が言った。

「怒ってるよ」

その一言に美月の目から涙がポタポタと落ち拳を濡らした。

それを見た谷川は大きくため息をつき椅子から立ち上がった。

怖いっ!

美月は更に力を入れてグッと拳を握り体を強ばらせた。

美月の背後に立った谷川は上からかぶさるように美月を抱き締めた。


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