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連鎖
【ホラー その他小説】

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連鎖-5

『ブチャッ!ベチャッ!!』
三人は驚きながらも、音のする大便器の置いてある個室を覗き込んだ。
『!?』
『祥太!!!』
そこにいたのは、血だらけで便器に腰掛けた祥太だった。

また一人、また一人と消えていき、いつしか三人だけとなっていた。正直、ここまでなるとは予想もしてなかった。悲しみやら何やらがたくさんありすぎて、混乱して何も感じなくなっていた。涙も枯れ果て、悲しむ事に疲れている。そんな彼らに、手を差し伸べるものはいなかった。
『この受験という大事な時期に君たちを混乱させてしまって、本当にすまない。だから、これ以上はもう関与するんじゃない。』
代わりにやってきた先生は、俺たちにもう調べたりはするな、と言ってきた。
『じゃあ、誰がくい止めるって言うんですか。』
『先生達で何とかする。』
『何とかできるんですか?俺たちの担任はそうやって死んじゃったんですよ?』
先生は言葉を詰まらせた。が、
『いいから、オマエ達は黙って勉強してりゃいいんだ!!』
何も言い返すことができず、ただ怒って言い返すことしかできない、能なしの教師だ。
とりあえずその場は流した。しかし、こんなところで諦めるわけがない。第一、死んだあいつらが報われない。
『もちろん、こんなとこじゃ終わんないよな?』
英義が問いかけた。
『まぁね。』
慎ちゃんは疲れたように言った。相変わらず野口は何も話さないのだが。
『でも、やるなら死ぬ覚悟でやんないと。』
『分かってるよ。』
『とりあえず、これ返しに行こうよ。』
『そうだな、このあと図書館に行って、返してくるか。』
『じゃあ、持ってくよ。』
突然、野口が口を開いた。
『どうした、野口。』
『なんか、俺なら死んでもいいかなって思っちゃってさ。それなら、俺でくい止めたいなって。』
野口は、自分が思っていること全てをうち明けた。
『死んでいい人間なんているわけないだろ。でも、オマエの気持ちはよく分かるよ。』
慎ちゃんは野口と同じ気持ちだった。自分が身代わりになって、みんなが救われるならそれでいいと。
『オマエらかっこいいな。だからって、オマエらだけにいいかっこさせるわけにはいかないしな。』
『じゃあ、結局どうすんだよ。』
『・・・・・・・・・』『・・・・・・・・・』
『いいよ、俺が持ってくよ。』
野口が手に取りもう一度言った。
『これを持っていくのは俺だけど、俺が死んだらオマエら2人のどちらかがこれを持っていってくれ。』
『分かってる。』『分かってる。』
2人は声をそろえて言った。
そして、放課後になるとまた三人は集まった。野口が本を確認した後、学校を出た。
図書館の前には川が流れている。夏になると、その川で遊ぶ子供達がよくみられる。今は秋なので、そんな事をする馬鹿はいないのだが。
図書館に入ると、奥の部屋に入っていった。奥へ奥へ、さらにさらに奥へ行き、誰もいないんじゃないかというくらいの所まで来た。
そこで、とりあえず本を置こうと取り出した瞬間、アナウンスが流れた。
『本日の営業は6:00をもって終了とします。ありがとうございました。』
このアナウンスと共に電気が落ちた。アナウンスがなってから早く電気が落ちたことに不信感を覚えながらも、本を早く返さなければ、と野口は本を置いた。すると、置いた瞬間に天井から髪の毛が伸びてきて、野口の手に巻き付いた。2人はよそ見していて気付いていない。野口はとっさに叫ぼうとした。が、その髪の毛はいつしか顔まで伸びてきており、喋ることもできない状態だった。そして、2人が振り向いたとき、野口は上へと引きづられていった。
『野口!!』
急いでひっぱそうとするが間に合わなかった。野口はそのまま、どこか別の世界に引っ張られていったように消えた。
驚いた慎ちゃんがあとずさりしていると、本棚が倒れてしんちゃんに倒れてきた。
『うああああああああ!!!』
そのまま飲み込まれるように下敷きになった慎ちゃんを、助けようとした英義は本棚を起こそうとした。すると、そこから大量の血が流れてきた。


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