ラブシック-決--3
「……お前だからだよな」
「ん?」
「お前だからこんな変な思い出だったんだよな」
「何?嫌な訳?」
「ううん、良かった」
「……ふふ、変な思い出の方がいいなんてそれこそ変。頭おかしいんじゃない?」
「おう、頭おかしいよ。相当イカれてる。なぁ、俺決めたわ」
「…どしたの、急に真面目な顔しちゃって。気持ち悪い」
「うるせぇ。…あのさ、結婚しよう!」
「ぅあ!」
「っな、何だ!」
「この窓の奥の電線にいるのって…猿じゃない!?」
「ええーっ!嘘だろ!!この日から猿の野望は始まってたのか?」
「この猿の瞳にはもうあんたしか映ってないよ」
「うわー…俺、もうこの猿から逃げられねぇのかよ。はっ、まさか今もどこかに!?」
「いるだろうね。」
「俺、猿から解き放たれる気がしねぇ」
「じゃあ、仕方無いからもうあんたこの猿と添い遂げなさいよ、一生」
「添い遂げるってお前…。で、話変わったけどさっきの返事は?」
「返事?何よ。さっきって。猿に夢中で聞いてなかった」
「…お前、本当に…もう、いい加減に」
「嘘!」
甜華がニコッと笑った。出会った時から何も変わらないその笑顔で。
「結婚でしょ?いいよ、アタシ大地のお嫁さんになる!」
【ラブシックend.】