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ラブシック
【コメディ 恋愛小説】

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ラブシック-1

あ〜気持ち悪い。吐きそう。

「吐いていい?」

「いい訳ねぇだろ」

ウソだよ。半分しか本気じゃないもんね。

「あ〜あ、わんこ蕎麦食べたかった!」

そんなあからさまに嫌味言わなくてもいいじゃんか。

「俺って可哀想」

アタシのが可哀想だろうが、どう見ても。
旅行行ったはいいものの風邪引いちゃって、ずっと旅館で寝てたんだかんね。温泉饅頭も紅葉見ながらの温泉卵も夜ご飯も朝ご飯もわんこ蕎麦もじゃじゃ麺も冷麺も食べてないんだからね。
せっかくの食い倒れ旅行が…。
まぁ、わんこ蕎麦以外を一人で回ったあんたも孤独ではあったろうけどさ。

「お前、前回も具合悪くなったよな?」

なった。なりましたよ。
すいませんね。
ラーメン旅行の時でしょ?
まさかこの歳で水疱瘡なるなんて思わなかったんだから仕方ないじゃん。

「あん時は俺、一人でラーメン屋と屋台回ってたんだぞ」

だから何よ?
アタシなんて隔離されてんだからね。病原菌扱いだぞ。

「ゴメンね。あ、頭痛が痛い」

「頭痛が痛いとかって言葉無えし」

知ってるわ、そんぐらい。真面目に返してんじゃねーわよ。
ここはツッコムかあえてスルーしなさいよ。

「目眩する」

「ふざけんなよ」

え?どの辺が?青い顔して横たわってんのに?質問攻めしちゃうよ?もうしてるけどね。アタシがこんだけ弱ってんのに「大丈夫?」ぐらい言えないんですか?

「お前といるとろくなこと無ぇよ」

三年も付き合ってきてよく言うよ。
逆に言わせてもらうけど、今回の風邪あんたのせいだからね。
道中冷房ガンガン付けやがって。暑がりも程々にしとけ。季節間違えんな。こちとら寒くて凍えてたんだからね。
言わせてもらうとか言いながら、そんな気力も無くて言えてないけど。

「はぁ。今回もある意味プライスレスだな」

うちらの旅行過去6回すべてプライスレスですよ。

「一人で喋ってばっかで暇だな〜」

アタシが黙って助手席乗ってるだけかと思ったら大間違いだかんね。
バーカバーカ、もっかいバーカ。
3回もバーカって言ってるもんねブァークァ!
…もう少しぐらい、こんな時ぐらい、もっと優しくしてくれたっていいじゃん。バカバカ。
その時、アタシの思ってることが聞こえたかのように彼氏の手が額に乗せられた。
あいかわずゴツくてでかくて熱い手だこと。


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