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キライ
【学園物 恋愛小説】

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キライ B-3

ずくん…と胸が痛み、急な不安に鼓動が早くなる。

もしかして……。

大迫の好きな人って…あのマネージャー?!

そうだとしたら私に頼んだ事は不思議じゃない。

あのマネージャーが大迫と付き合うとしたら、いつも大迫を囲んでいた女の子達は彼女に何をするかわからない。

私にだってあんな事するぐらいなんだから、ずっと一緒にいる彼女はもっと目の敵にされるだろう。

彼女を守るために私に頼んだんだとしたら…?


考えれば考えるほど自分の読みが当たっているように思える。

女の子にしては長身のマネージャーは大迫の隣に並ぶとお似合いだ。

少なくともちんちくりんの私が横に並ぶよりずっと。




「何、ボケっとしてんだよ?」

いつの間にか大迫が私の隣で壁にもたれながら水筒を手にしている。

「えっ?別にボケっとなんかしてないよ」

「じゃあ俺が何本ゴール決めたか言ってみな」

考えに耽って全く見ていなかったのに答えられるはずがない。

仕方なく適当に答えてみた。

「さっ、3本!」

ゲンコツで頭を殴られた。

「いったー!」

頭を押さえて涙目になった私は大迫を睨む。

「5本だ!ちゃんと見とけ」

反論出来ず黙り込む私に水筒を押しつけた。

「それ持って今度はちゃんと見てろ」

「はぁーい」

素直に返事すると大迫は水筒を指差して

「飲んでもいいぞ」

腕の中の水筒を見るとコップのない直飲みタイプ。

「ばっ!馬鹿じゃないの!」

顔を赤らめた私を見て意地悪く言う。

「香奈チャンはヤラシイですねー」

更に赤くなった私をクスクス笑いで眺める。

「早く練習に戻れば!」

プイと横を向く私にハイハイと返事してコートに戻って行った。

全く!

手の中で水筒を弄びながら自分の想像力のたくましさに自己嫌悪した。


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