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キライ
【学園物 恋愛小説】

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キライ B-2

「おー。俺の雄姿をしっかり見とけ」

何それ?

私はつい吹き出してしまった。

「雄姿じゃなくて先輩に注意されてるとこを見に行くよ」

笑いを含んだ私の言葉に

「可愛くねーの」

大迫はため息混じりで答えた。




「香奈!」

別れ際に呼び止められ大迫に視線を巡らす。

少し躊躇いがちな沈黙の後

「もう少し…カノジョでいてくれるか…?」


そうだった…。
私はカノジョのふりをしてるだけ。

今日の事で十分借りは返せたと思うけど、それを口にする事は大迫のカノジョを辞めるという事。

私は……

まだ大迫のカノジョでいたかった。

「大迫が好きな人といれるようになるまで付き合うよ」

じゃあねと手を振って踵を返した私の胸は自分が発した言葉で痛かった。

大迫の好きな人…か…。

あの子達を諦めさせるため、私に頼んでまで(思い切り命令口調だったけど)こんな事をする大迫の好きな人って誰なんだろ…?

今日の事であの子達はもう私に手を出す事はないだろう。

きっと本物のカノジョが出来ても大丈夫だと思う。

私が大迫のカノジョでいられる期間はもうそんなに長くない。

その時が来たら私は笑って大迫とその好きな人を見る事が出来るだろうか…。





翌日、約束通り部活の見学に行った。

こうして大迫を見ていると涼子がカッコいいと言ったのがわかる気がする。

元々容姿の点では文句のつけどころはない。

長身に均整の取れた体格。
少し長めの髪は茶色がかっていてサラサラ。
少し目尻が上がっているけど、それがキリっとした印象を与える。
笑うとあどけない表情になって、そのギャップにみんなやられちゃうんだろなぁ。

ふぅ…とため息をついて大迫を見やると、例のマネージャーが甲斐甲斐しく大迫の世話を焼いている。

あれじゃバスケ部のマネージャーっていうより大迫専用のマネージャーみたいだ。

わざわざ宣言してくれなくても、傍から見て十分大迫が好きなんだってわかる。

そんな大迫はマネージャーの気持ちを知ってか知らずかにこやかに笑顔を返している。


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