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社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜
【その他 官能小説】

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社外情事?6〜危機感認識の避妊知識・その1〜-5

「気に入ってくれたなら、エッチする時に毎回してあげるけど、どうかしら?」
一転して普段通り。自信に満ちたいつもの表情で、誠司の鼻をつついた。
「うぅ……」
問われた誠司は、しかし答えに窮する。

男として生まれたが故のロマンとも言える奉仕前戯、パイズリ。
元々はとある貴族の性癖を矯正するために編み出されたという行為。その絶大なる威力を味わい、美味なる煩悩を体に刻みつけられた身としては、叶うなら飽きるまで何度でもやってもらいたい。
だが、慣れるのは早かった玲との情事も、依然として疲労は激しいのも事実。しかも誠司も玲も貪欲なせいで、常に二、三度は求め合い、終わったら身なりなど構わず抱き合って寝る始末。それを思うと、片方ばかりが高められていく行為はできる限り避けたい所。

(シテもらいたい気はするけど……どうするかな)

――などと思っていると。

「あ、悩むなら、もう一度シテあげるわよ?」

すっかり萎びてしまった陰茎が、再び乳肉に取り囲まれる。かと思うと、一部の隙間も与えるつもりがないかのように強く押しつけられ、もみくちゃにされた。
「うっ!ちょ、ちょっと玲さんっ」
「だって決められないんでしょ?だから誠司君が決めやすくなるように、もう一回♪」
「な、なんか悪ノリして、ませんかっ!」
じたばたともがいた誠司だったが、やはり牡の本能は快感に正直。僅かなやり取りの間に与えられた摩擦刺激だけで、彼の劣情は治まらない興奮を誇示してしまった。
再び硬くなった事を文字通り胸の内で感じた玲は、一旦それを解放。
「悪ノリなんかしてないわよ。私は、誠司君が悩んでたからしてあげただけ♪」
そしてやけに甘ったるい言葉を吹きかけると、自分の胸ごと誠司の情欲を抱きしめた。体をくねくねと揺らし、肉と肉が擦り合う心地よさを見舞い、ついでに上目遣いに切なげな顔をして、劣情をこれでもかと煽る。
「わ、悪ノリしてるじゃないですかっ!」
結果、浴室どころか扉を隔てた脱衣場の先にまで、久しぶりに慌てふためいた誠司の悲鳴じみた叫びが突き抜けていく事となった。


翌日。
社員の大半が出勤してくる時間よりも大分早い時間帯。
「……」
「どうしたよ、誠司」
早々に出勤しながら仕事に手をつけるわけでもなく、デスクに突っ伏し低く唸り続けている、という滅多にない行動をする誠司の肩を、健介が揺すっていた。
左頬が自身の重みで少し歪んでいる彼の顔には、明らかな疲労が浮かんでいる。そのため、心配した健介が軽く揺すりながら問いかけた――という次第だ。
「や、何でもない」
「今にも机に沈んでいきそうな感じに言われても説得力ねぇっつうの」
こめかみにチョップが降った。ただし、おふざけにツッコミを入れる程度の勢いしかないので、ほとんど痛みはない。
「……やっぱり、そう見えるか」
長い息が漏れる。いかにも気怠そうな動きで、誠司の顔が起き上がった。少々どんよりとした様子のある目と向き合い、健介が口を開く。
「当たり前だろ。そういう台詞は、もうちっとしゃきっとしてから言えよな」
飛び出たのは、彼にしてはまともな言葉。そこから滲み出る気遣いらしき感情に、誠司の中に感謝の気持ちが沸き上がるが、残念ながらそれを表すだけの気力はない。
「わかった、気をつける……」
せめてそれだけ言って、彼の頭は再びうつむきかける。


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