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【初恋 恋愛小説】

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3・2・1-7

「いっいや、一人だと思ったから…」
「行こうぜ…」
二人の男は足早に去っていった。
はぁー…よかった…ケンカになってたら絶対負けてた…
「大丈夫か?」
俺、リコにそっと話し掛けた。
リコは小さくうなずいたけど、体を震わしまだ怯えている。
「リコちゃん!!」
時田と市川が駆けつけてきた。
何で来んだよ!!
「リコちゃん、えっと、私聞いたの市川に…」
時田、真っ赤になってリコにそう言った。
俺、市川をちらっと見た。
市川、照れ笑いしてる。
なーにー!!くっついたのか!?
「でね、リコちゃん、リコちゃんは…」
時田…もう聞くな!!何も言うな!!そっとしといてやれよ!!
「あっ北原君?」
その時、知らない女が声をかけてきた。
あ?誰?
「え、マジやばい、北原君とこんな所で会えるなんて」
「あんた誰?」
「私、六組の香山奈々、入学したときからずっと北原君が好きだったの、つき合って」
は?
「バカじゃねーの」
なんだこの女
「分かってる佐伯さんとつき合ってるんでしょ?大丈夫、黙っとくから、私いいよ二股で」
またそれかよっ
「は?てか、俺お前のこと知らないし、やだよ」
いい加減にしろよ、リコの前で
「そんなのつき合ってから知ればいいよ」
その女、俺の腕を掴んだ。
「さわんなっっ!!つき合わねーよバカ!!」
俺、頭にきてその女の手をはねのけた。
ドドンッ!!
その時、大きな音が響き、腹の底を振るわした。
そう、花火が始まったのだ。
「バカみたいもういいよ」
その女、そう言って俺達に背を向けて去ってった。
…変なやつっているもんだな〜…
「リコちゃん!?」
え?
時田の声に驚いてリコを見た。
おっおいっ、どうした?
リコは時田の浴衣を掴んだまま涙を流していた。
さっきの奴らか?……それとも、時田と…市川の事か?…だよな…見たくねーよな……だいたい…
「翔ちゃ…きっ北原君…私、…私、北原君が好き…」
え…………
「あ…ああ」
え??何?なんだこれ
リコが?え?北原って?いや、俺だよな……え??
俺の頭は完璧に混乱してる。
ドドンッ!!
混乱してる頭に花火の音が響く。
…何か…言うべきか?……
「…ごめんなさい…分かってるの、翔ち…北原君は涼子ちゃんとつき合ってるから…」
「は?ちょっと待て、俺は佐伯とつきあってねーよ」
沈黙を破ったリコの言葉で俺の思考が戻ってきた。
「なんだよその情報は!!」
どいつもこいつも佐伯、佐伯って…
俺、何だか腹が立ってきた。
「…メールアドレス…涼子ちゃんの誕生日だって…」
なっ、なーにー!!
「おまっ!!お前なー、自分の誕生日言ってみろ!!」
気づかないとは思ってたけど…だいたい佐伯の誕生日なんて知らねーよ!!
「…1月…2…3…日……」
「お前のメルアドは?」
「…ricoricorico.s105…」
「俺の誕生日言ってみろ!!」
「…10月…5日…」
リコの顔がゆっくり上がった。
「それから、その呼び方やめろよ…いいって言ったろ‘翔ちゃん’で…」
俺、門に寄りかかりながら言った。
やっぱりリコは寝てたのか…
俺、リコが熱を出して保健室で寝てたときのことを思い出した。
覚えてないならやっぱキスしときゃよかったよなー…あ、いや、じゃなくて…
「お前何で泣いてんだ?具合悪いんだろ」
そうか、電話の後でそんなこと言ってたな…
「あ〜時田さんありがと」
俺、時田の袖からリコの手を離した。
…うっ…やっぱりこいつにも謝っとくべきだよな…
俺、市川に視線を向けた。
「市川…って言ったっけ?…ごめんな俺、お前とリコがつき合ってると思ってたんだ」
リコの手を握ったまま市川に言った。
「…私…」
突然リコが口を開いた。
「どうした?」
気分悪いか?
「…翔ちゃんって…呼んでいいの…?」
へ?
「…いいよ」
「…翔ちゃんを…好きでいていい?」
…リコ…
「…いいよ」
「翔ちゃんは…翔ちゃんは私を…」
………
「好きだよ…」
そうだ、俺はずるいやつだ。リコに言わせてばっかで…
だからこれからは俺が言う。
「俺はずっとリコのこと好きだった」
そう、ずっと…リコだけを…
その時、花火大会に来てたんだと思い出した。
だってリコが浴衣なんか着て、すげー色っぽくて…
「…リコ見ろよ、花火きれー…」
「え?…」
リコが空を見上げた姿があの時の、雪の桜を見た時の姿にだぶって、俺は思わず、リコに、キスをした。
その後の驚いたリコの顔…今までで一番かわいかった…


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