「彼女の艶母」-3
(ふむ、ふむふむ、旦那は出張に行ってしまったのか……で、今夜は義父と二人っきり……な、なんだかこのシチュだけでドキドキしちゃうなぁ)
生まれて初めて読む官能小説。
自慢じゃないが、僕はほとんど小説を読んだことがない。なので、官能小説も全く読んだことがない。というか、興味がなかった。
動画や画像なんかのエロサイトは毎日のように自分の部屋で見ているのだが、小説というのはなんだか面倒臭くて……活字だけっていうのがどうも僕には苦手だった。
だけど今は状況が違う。
自分の性欲じゃなく、千夏の性欲の度合いを覗いているのだ。
ここにあるサイトの活字がそれを教えてくれる。
僕は、さも千夏のエロ度を調べるかのようにして、卑猥な文章を頭から意欲的に読み進めていった。
(す、すごいなぁ……官能小説って、こんなにエロかったのか……活字だけでこんなに興奮させられるなんて……)
読み進めるうちに、だんだんと肺の中が重くなってきた。
呼吸が苦しくなり、そのせいで鼻から漏れる息が荒々しくなっている。
身体が火照りだし、特に顔あたりはジンジンするほど熱が上がっていた。
「マ、マジで凄いよ、これ……クリ○リスが痛いほど膨張して、その下の花弁が男を求めてヒクついているのが自分でもわかった……な、なんて厭らしい文章なんだ」
佳境に入るにつれ、動悸がいっそう激しくなってきた。
ズボンの中で窮屈に押し込められていたペ○スは、もう先ほどから猛烈に力を漲らせている。
僕は、誰もいないと解っているはずなのに、慌てた感じで室内をキョロキョロと見回した。
そして、辛そうに折れ曲がっていた勃起棒をグイッ、グイッ、とズボンの上から弄り、先端が真っ直ぐに上を向くよう素早く整えた。
正座を崩し、大きく胡座をかきながら再び小説へ眼を向ける。
(こ、これ、マジですげえ……千夏のやつ、こんなものを読んでたのか……)
『幸造は冷ややかにいい放つと、もがく由紀を押さえつけ、肉棒を無理やり挿入した。ずぶりという感触とともに幸造のモノが由紀の中へと侵入した』
僕は、この挿入シーンのところでついに我慢出来ず、思いっきりズボンの上から股間の膨らみを掴んでグリグリと感情のまま激しく揉み動かしてしまった。
トントン―――
「ひゃっ!?」
不意に突然叩かれるドア。
慌ててサイトを閉じようとするが、なかなか画面が消えてくれない。
やばい、やばいぞ!
あれだけ警戒していたのに、階段を上って来る音にまったく気付かなかった。
それだけ僕の意識がこの小説に向いてたってことか!?
僕はあたふたしながら強制的に電源を落とした。
「高志くん、入るわよ?」
「は、はい! ど、どうぞ!」