「ストロベリークリーム〜Nuts」-5
「ご注文はどうされますか?」
「あ、えーと…」
普通のケーキを頼もうと思ったけど、先程の感覚が甦る
もっとこの人に触られたら、どうなっちゃうんだろう…
…ちょっとくらい、いいかな
…どうせ、初めてじゃないんだし…
確か…
「『苺に、クリームいっぱいいっぱいのせて下さい』…?」
「かしこまりました。『トッピング』は何になさいますか?」
『トッピング』って、確か、竜が「コーヒー」で紺が「チョコレート」で愁が「ナッツ」だったっけ…
何気なく愁のほうを見る
愁が私の目をじっと見る
あ…この瞳…なんかダメになる
大丈夫かな、私
なんか、取り返しのつかないことしてるような…
「あ…『ナッツ』を」
心では躊躇しているのに、愁の目を見ると、するすると言葉が出てくる
まるで、催眠術みたい…
「かしこまりました。用意が出来次第お持ちしますのであちらの部屋でお待ち下さい」
私、何してるんだろう…?
そう思いながらも、案内されるままに、奥の部屋に入った。
…どうしよう…やっぱりやめた方が良いかな
唯と杏子が来て大丈夫だった訳だから、危険はないだろうけど…
男の人は何考えてるかわかんないし、それに…
--…あの人なんかあるわよ、絶対---
杏子の言っていた言葉と同時に、さっきのことを思い出してそっと唇に触れる
…さっき、二人が来なかったら…?
「…どうしたんですか?」
いきなり声がして、顔を上げるともう愁が部屋に入ってきていた
「あ、あの」
「…どうしてそんなふうに…唇に触れているんですか?」
「あ、これは…」
「…僕の指を思い出していたの?」
穏やかに微笑んで、私に近づく
だめ…これ以上この人といたら…
「わ、私、やっぱり帰ります…」
「帰る?僕に会いに来たのに?」
愁の言葉に目を見開く