「ストロベリークリーム〜Nuts」-2
***
「ふぅ…やっと終わった」
小さくつぶやき、大きく伸びをする
大学のレポート提出の期限まではまだ時間があるけど、先に終わらせないと不安になってしまう
そういえば、唯ももうすぐ中間試験だっけ。
大丈夫なのかな。
少し気になったので、隣の部屋をノックする
「唯、開けていい?」
「んーいいよー」
くぐもった声で返事がして、私は扉を開ける
中では、唯と杏子が大真面目にオセロをしていた
「ちょっと…何やってるの」
「オセロ」
「それは、見れば分かるわ」
「ちょっと奈々、邪魔しないでよ、これは真剣勝負なんだから」
杏子がこちらを見ずに早口で言う
もう…杏子って見た目はすごく大人なのに、やけに子供っぽいとこあるのよね
「真剣勝負って、杏子、大人気ないわよ。唯ももうすぐ中間試験でしょ?勉強しなくていいの?」
「もーお姉ちゃんは本当に口うるさいなぁ。おかーさん以上」
「そんなこと言ったって…遊んでばっかりじゃなくて、試験勉強もしないと」
「だからこれは遊びじゃなくて真剣勝負なのよ、スカート賭けてるんだから」
「ちょっと…賭け事はだめよ!」
杏子の言葉に驚いて、つい声が大きくなってしまう
「奈々、賭け事なんて大げさなことじゃなくて、ただ可愛い服を買いたいだけなの」
「そうそう、今日行った店でね、すっごく可愛いスカートがあってえ、
でもあと一着しかなかったから、明日買いに来ますからって無理言って取り置きしてもらってんの」
…どうも話が読めない
「それが何の関係が?」
「だからぁ、杏子さんも私もそれすっごい買いたかったから、購入権を賭けてるの!」
「スカートを、奪い合ってるわけ?」
「そういうこと」
杏子の言葉を最後に、二人はゲームに戻る