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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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飃の啼く…最終章(後編)-44

会場内は歓声に沸き、拍手と笑い声が広々とした教会を満たした。

そして、世界は平和で、二人は幸せだった。



そして、知っていた。その幸せが永遠に続くことを。



そして。

そして、いつか――



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「ママーっ!」

鈴を転がしたような声で笑い、息を弾ませながら、娘は机に向っていた私に抱きついた。私はペンを置き、幼子のふんわりとした髪の毛を撫でた。

「んー?どうしたの、ゆう?」

「見て見て見て!お兄ちゃんと一緒に描いたの!」

私は娘を抱き上げて、膝の上に乗せた。

「どれどれ〜?」

「これ!」

娘は、綺麗に折りたたんだ白い紙を広げて見せた。そこには、手を繋いで立つ4人の人が描かれていた。彼女は、小さく柔らかい手で、ひとりひとりを指差しながら説明してくれる。

「これがママ!で、これがお兄ちゃんで、これがゆう!それで、これがパパ!」

クレヨンの太い線で、カラフルに描かれた家族。誰が誰なのかは、説明されなくてもわかる。それに、息子と、まだ字を習っていない彼女が見よう見真似で書いたひらがなが並んでいたから。「ぱぱ」「ゆう」「はやて」「まま」小学校に上がった颯は、さすがに字がうまくなった。でも、ゆうの“う”の字は鏡文字になっている。兄が妹に文字を教えてやっている姿が目に浮かんで、思わず微笑んだ。

「ママにあげる!」

「本当?嬉しい!」

私が素直にそう言って微笑むと、娘も声をあげて笑った。

玄関から、息子の元気な声と、夫の笑い声が聞こえてきた。「ただいまーっ!」

「あっ!パパとはやて兄ちゃん、帰ってきた!」

「おかえりーっ!」

私はそう言って、膝の上で飛び跳ねる彼女を抱き上げると、机の上の本を閉じた。娘は、それを見て聞いた。

「何してたの?お絵かき?」

「ううん…お話を書いてたのよ」

娘は顔を輝かせた。

「お話?!どんなお話?」

私は娘を抱き上げて、玄関に向った。


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