「ストロベリークリーム〜Chocolate〜」-3
***
「うー今日寒い…」
早歩きで「A.S.」に向かう。
足取りは慣れたもので、我ながら苦笑してしまう
目的の場所が見えてくると、同時に一人の少年が目に入った
…彼だ!
彼は寒そうに肩を寄せ、せかせかとほうきを動かしていた
第一印象は大事よね、かっこよくしなきゃ
「こんにちは、寒いのに大変ね」
心臓が今までにないくらい速く打っているが、顔には出さない
「あ、いらっしゃいませ。大丈夫ですよぉ、慣れてますから。
風邪をひいてしまいますから中へお入り下さい」
じゃぁあなたも一緒に、
…なんて言ったら変よね
でも、彼のいない店内には入りづらいなぁ。どうしよう…
…カラン
振り返ると、竜が出てきたところだった
私の顔を見ると、憮然とした顔で「いらっしゃいませ」と言った
「どうぞ、中へ」
…今すぐ帰って欲しいような顔で言われても
悩んでいると、背後から可愛い声が聞こえた
「僕も入ろぉっと」
「あっコラまだ終ってねぇだろが」
「だって寒いもーん。ね、一緒に入ろう?」
私をじっと見て言う。
…私の考えなんかお見通しなのかもしれない
「あ…うん」
「行こっ」
彼が私の手を握っている!私は感動で倒れそうだった
***
「ご注文は何になさいますか?」
私はついつい愁の顔をじっと見てしまう
確かに美しい…近くで見ると尚更。惚れる女性が多いのも頷ける
でも…なんか怖いのよね、この人。
「あの、お客様?」
「あっごめんなさい、ええと…
…『苺にクリームいっぱいいっぱいのせて下さい』」
この言葉が何を示すかっていうことよりも、このセリフ自体恥ずかしい