万華(その4)-2
僕は燿子の双臀の細い切れ目に舌を少しずつ挿入し始める。鼻でその谷間の肉を押し分けるよ
うに尻の蕾を舌で探る。そして唾液を含んだ舌が燿子の蕾に触れると、彼女は思わずぶるっと下
半身を震わせた。その双臀の割れ目の溝にたっぷりと僕の唾汁が塗りこまれる。
女の尻の深みにその舌を潜り込ませていく感触に僕は息をはずませ、しだいに肉棒が硬さを増
していくのを感じていた。
その白い双丘の深く細い切れ目に、僕の荒い鼻息を含んだ熱気が籠もる。僕は鼻先を強くその
谷間に押しつけ、燿子の産毛の生えたような薄紅色のすぼまりに舌を触れる。
その蕾のようなすぼまりに滲みた燿子の匂いを嗅ぎたかったのだ。女の股間の汗が混ざったそ
の肛門のすぼまりの潤みが、艶めかしい被虐の芳香を僕に与えるのだ。
「…あっ…ん…」
燿子は、快感とも呻きともつかないような声をあげた。
僕はその肛門の縁肉を舐め、徐々にそのすぼまりの内部に舌を差し込み、内側の粘膜の汁さえ
啜ろうとする。しだいに犬のようにピチャピチャと舌先で尻穴の周辺の襞をかき回すように舌で
なぞる。その僕の唾液が燿子の尻の割れ目から股間に滴り流れている。
しだいに燿子の股間の湿り気をもった疼きさえ僕の舌に伝わってくるようだった。
「…ううっ…ん…いいわ…」
燿子は下半身を僕の舌で突き上げられ、内股の筋肉さえ張っている。白いうなじから背中にか
けて仰け反らせ、その白い下肢さえ引きつらせるように悩ましく小刻みに震えさせていた。
僕はその肛門の蕾を舌でこじ開け執拗に挿入しようとすると、その菊芽のねっとりとした粘膜
がめくれる。
…ああ…っ…
その舌はやがて双臀の大きな翳り全体の重みを感じていた。すぼまりから股間へ続く臀裂に沿
って僕は激しく唇でその谷間の湿り気を啜る。同時に燿子の肛門の縁襞がわずかに収縮している。
無意識のうちに燿子は尻襞をわずかに蠢かせているようだった。
自分自身の性の欺瞞を知っている女は、決して満たされることがない女だ…
そんな女たちは僕の体を獲物として捕らえたかと思うと、豹変したように僕を嬲り続ける。
僕の性器を嘲笑い、僕の肌に喰い込むくらい強く鞭を振り下ろし、女はその肉襞の粘膜を震え
るように擦り合わせ、官能に打ち震えながら淫汁を滴らせる。
僕のペ○スを咥え、しゃぶり続け、腰を振りながら何度となく登りつめ、果てても、そんな女
たちの深く暗い洞窟の出口は無限の先にある…。そこにあるのは、ただの空虚な寂寥だけなのだ。
それは僕自身も同じなのだ。まるで犬のように裸のまま鉄の檻に入れられ、その恥辱と苦痛に
どれだけ精液を垂れ流しても、求め続ける奴隷のような淫悦の実現は、深海のような果てしもな
い奈落の底にある。
どんなに痛めつけても…痛めつけられても…決して満たされることのない女たちと僕…
ただ異性の肉体の中に自分の性魔の幻影を見ているにすぎない。それはまるで鏡のような湖面
に自分自身を映し、自分の姿を抱きしめ溺愛することと同じだ。
情欲の赴くままに、痴態の限りを尽くし喘ぎながらも、満たされない肉欲の無意識の葛藤を繰
り返すだけなのだ。
地下室の換気用のダクトに流れる風の音が、どこか闇の啜り泣きのように聞こえてくる。
私はゆっくり煙草に火をつけた。私の足元の床に仰向けに横たわる全裸のアキラは、身を縮ま
せるように後ろ手に手枷で拘束された体を私の前に晒していた。そのアキラの美しく冴えわたる
象牙色の裸体を舐め廻すように視線を注ぐ。
その若い男のあまりに美しい肌に私は眩惑したように眩暈さえ感じていた。