インターネットカフェを出ると朝焼けだった、-2
「何とかせなあかんのやけどな…」
「何とか仕様が分からんのちゃうの?」
「…そやな」
彼ら2人とも、これから何度も顔を合わせる。ヘタに別れると後々面倒だ。それがここまで関係を捻れさせたネックにもなっていた。
「1つ、考えがあるんやけど、聞いてくれるか?」
「勿論」
「どっちとも、縁を切るこっちゃ」
私も薄々、そうするのが1番なのかもしれないと気付いていた。だが立場上、それにより何かしらの不利益は被るのだが。
「前々から思ってたんやけど、私って長続きせんのかなぁ」
「せやかて、1年続いた人もおったやん」
「あれはほんまに好きやったんやもん」
言ってから、私は愕然とした。
「え?」
友人がゆっくりと聞き返す。
「…」
「そうか…今の彼氏さんにも、元彼さんにも、俺は同情するわ」
優しく、友人は言った。
「あの時本当に色々あったのは知ってる。そのせいでお前がボロボロになってた事も。正直俺は元彼さんに良い気はせんで。女を殴るような奴は男のカスやからな」
「その話はもういいよ。私も悪かった事やし」
「そんな事ない。…まあええわ、せやから今の彼氏さんと付き合う言うた時も止めんかった。あんときの―」
「―あんときの私には、ああするしかなかった」
「そうや、支えがなきゃ今にも倒れそうやったからな」
一息置いて、続ける。
「せやけど、やっと落ち着いてきたやろ?未だに元彼に未練たらたらなんはお前も同じちゃうんか?」
私は元彼と付き合っていた頃に、今の彼氏と浮気していると誤解させる行為をした。実際には元彼の相談をしていたのだが。
元彼は寂しかった、だから私を殴ったの?その罪悪感から、私は未だにどっちつかずの現状になっているのだろうか?
「せやけど、私は元彼とはもう一緒におれへんねん」
元彼の暴力沙汰は私達の先輩も知っている。それ程酷かった。たった一度の彼の過ちから、私達はもう二度と付き合う事が出来なくなった。また付き合えば、次は私が居づらくなる。
「でも…」
好き。
「結局どっちが好きなんや?」
「どっ―」
「どっちもなんて言うんやったら、いっそどっちとも別れろ」
「…」
「失礼な言い方かもしれんが、聞いてくれな。お前はよく、周りの目を気にするやろ?」
「うん」
「せやから、今の彼氏では不安やった。正直元彼の方がツラはええからな。違うか?」
「当たってます」
そして元彼の方が刺激的。
「せやったら元彼とおればええねん」
「でも」
「何や?」
「…もう元彼とは」
「何で周りばかり気にするんや?1番元彼の側におったのは誰や?よく知ってるのは誰や?」
私だ。
「元彼は…本当はみんなが思ってる程酷い人やないねん。男見る目が無かったかもしれんけど、本当は寂しがり屋で甘えん坊なだけやねん。私が不安にさせる様な事したのがあかんねん」
「どっちが悪かったとかは、今はええわ。お前がそんなに分かってるんなら、お前が味方になってやればええねん。それが嫌なお前は、ただ自分が可愛いんとちゃうのか?」
その通りや。本当、その通り。