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Kiss me please!
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Kiss me please!-3

唇を拭い男に向かって叫ぶ。

「何すんのよっ!!」

男は望の怒りなど気にした風もなく言い返した。

「治療費払うって言ったのはそっちだろ?」

「私はっ!病院代を払うと言ったんです!何でいきなりこんな事されなきゃいけないのよっ!」

「病院代はいいからさ、俺と毎日キスしない?」

「ふざけないでよ!何でそんな事!」

「それで許してやるって言ってんのに」

「じゃあ許してもらわなくて結構です!」

「病院にも行かずさぁ、手首が動かなくなったりして…。そしたら俺困っちゃうよねぇ。キス一つで俺の人生大きく変わっちゃうかもなぁ…」

わざとらしく手首を押さえつつ望を見やる。

「だから病院行ってって言ってるじゃないですか!何なら一緒に行きますから」

「嫌だ」

男は子供がだだをこねるような口調で言う。

「自分の体とキスとどっちが大事なんですか!?」

「キス♪」

望は言い争いをしてるのがバカらしくなってきた。

はぁ…。
変なのに関わっちゃったなぁ…。

男は黙ってしまった望の顔を覗き込んだ。

視線を感じて望が顔を挙げると男と目が合った。

そういえば慌ててたのと怒ってたのとで男の顔をまともに見たのは初めてだ。

年はそんなに変わらないようだし、悪戯っぽい顔が可愛いかも…。
これならキスぐらい…。

って、何考えてんの!

さっき彼にフラレたとこじゃない!

望はフルフルと頭を振った。

「で、どうする?」

「しません!」

キスしてもいいだなんて一瞬でも考えたのがバレないように慌てて返事をした。

「頑固な女だなー」

「がっ、頑固って!大体あなたが変な…」

男は望の言葉を遮るように肩を抱き寄せ、軽くキスをした。

!!

「もう二回したんだしいい加減観念したら?」

声も出ない望に男はニンマリ笑った。

無理矢理されるんなら合意の上でした方がマシかも…。
それでこの不毛な会話も終わるだろうし…。

疲れた頭で考えた。


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