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Kiss me please!
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Kiss me please!-2

「あっ…。ごめんなさい…」

小さく言うと男の上から素早く退いた。

男はジーパンを払いながら立ち上がって望を見下ろす。

「助けてくれてありがとう…」

頭を下げる望に構わず男は歩き出した。

ぼんやりとした頭で男を見送っていると男が左手首を振っている。

下敷きになった時に捻ったのかな…。
って、恩人に怪我させてるじゃない!

慌てて望は男の後を追った。
「すいません!待って!」

大声で呼びながら男との距離を縮める。

男が振り向くのと望が腕を握るのが同時だった。

男は怪訝な顔で望を見下ろす。

望は息を切らせながら

「はぁ…、はぁ…。下敷きになった時に…怪我したんじゃないですか?」

「別にしてねーけど」

「いや、でも…手首振ってたし…。見せてください」

「はぁ?」

「いいから!」

望の強い口調に驚いた様子の男は、手首を握って筋を押さえる望を黙って見ていたが、ある場所を押さえられて小さくうめいた。

「捻挫…ですね。ごめんなさい」

謝りながら手早く持っていたハンカチで男の手首を固定した。
望の手際を見ていた男は

「…あんた、医者?」

と問いかけてきた。

望は首を横に振り答えた。

「看護学生なんです」

「ふーん。それなのに自殺?」

「ちっ!違います!ちょっとぼんやりしてただけです!」

「まっ、何だっていいけどさ」

「応急処置なんで、ちゃんと通院した方がいいと思います。治療費をお支払いしますから連絡先を交換させてもらえませんか?」

自分のせいで怪我をさせてしまった責任を感じている望がそう申し出ると、男は少し考えるような素振りを見せた。

「…治療費払ってくれんの?」

「もちろんです!私のせいで怪我したのに…」

「じゃあ、今もらってもいい?」

「あっ、今から病院行きますか?」

無防備にそう言う望を見て、男は軽く微笑んだと思うと捻挫した手で望の腕を掴んで引き寄せ、右手で望の顎を掴むと同時に口付けた。

事態が飲み込めていない望の口内を男の舌が這う。

息苦しさに正気に返った望は男の胸を思いきり押し返した。


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