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【初恋 恋愛小説】

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ー次の日
朝早くに電話が鳴った。
私の家族は父・母・兄の四人で、車で三十分ぐらい行ったところで美容院を経営してる。お父さんもお母さんも美容師で、五つ離れたお兄ちゃんは県外の大学に行ってるから家を出ている。
電話、お母さんからかな??
「もしもし、小西です」
そう思いながら受話器をとると、すごく緊張してる声が聞こえてきた。
「市川ともうしますが、リコさんいらっしゃいますか?」
緊張の声で私まで一気に緊張してしまった。
「い、市川君!?」
そうか、私、昨日、電話番号教えたんだ
「あっ、小西さん?ごめんな、こんな朝早くに」
「ううん」
市川君のほっとした声に私の緊張も少し緩んだ。
「あのさ、昨日言ってた話なんだけど、今日、いいかな?」
市川君、本当にサヤカちゃんが好きなんだ…
サヤカちゃんも…あの合コンだって私の為って言うか、きっと、自分が市川君に会いたかっただけなんだ…
市川君と会うことにした。十一時に中央公園、話はもちろんサヤカちゃんのことなんだろうけど…
私…相談なんて、…好きな人に想いが通じたことなんてないのに…ううん、まともに話すら出来ないのに…
なんだか急に不安になった。
待ち合わせの公園は、私の家から歩いて二十分の所にある。市川君は自転車で来るって言ってたけど、あの辺からだと三十分以上はかかる。きっと私に気を使ってくれたんだと思う。ここは、中央に大きな池があって、その池を囲むように木木が生い茂りその中を道がつながっていて、ウォーキングやジョギングしている人、犬の散歩をしている人がたくさんいる。池の中央に向こう側に渡る大きな橋がある。入り口は二カ所、北と南、南の入り口が大きく、そこから続く池までの道は桜並木になっていて、ベンチがあり、時計台がある。ここで市川君と待ち合わせてる。
時間十分前…
「市川君、もう来てたの?」
時計台の前でそわそわ落ち着かない市川君に駆け寄った。
「あ、うん、なんか落ち着かなくって…」
「あれ?自転車は?」
あたりを見渡す私に市川君は入り口を指さして言った。
「駐輪場」
「あ、そっか」
南入り口前の道路を挟んだ向こう側にここの駐車場がある。
「今日、ごめんな、せっかくの休みなのに」
市川君って優しいな
「ううん、サヤカちゃんのことでしょ?」
本当はサヤカちゃんも市川君の事好きなんだけど(多分…)…それは言わない方がいいのかな…やっぱり…
「あっ、私、相談とか…うまく言えなくて、役に立てないかも…」
こんな、片思いしか知らない私だし…
「いや、そんな大層な事じゃないんだ」
だけど…サヤカちゃんの為だ、頑張ろう!!
「うん、なんでも言って!!」
私、気合いを入れて市川君を見上げた。
「えっと…」
市川君のうつむいた顔、真っ赤
な…なんか、どきどきする…
「あのさ、時田って彼氏いる?」
市川君はうつむいたまま、だけど、声は震えてた。
…私の事、聞かれてるみたい…
私、自分の顔がほてっているのを感じながら言った。
「いないよ」
あ〜こんな、もっとなんか言わなきゃだよね、でも、でも、これ以上言うと、サヤカちゃんも市川君が好きって言っちゃいそう!!
「そっか…よかった…」
市川君、明らかにほっとしてる。
市川君って、本当、分かりやすい…


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