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ホントノキモチ
【初恋 恋愛小説】

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ホントノキモチ-3

『どして、引っ越すの教えてくれなかったの?』
『…だって、引っ越すのは親だけだし…。』
『え?』
『奈美…勘違いしてる?もしかして?』
…お母さんの話、ちゃんと聞いてから行動するべきだった…。
今更ながらにそう思う。

つまりは、こうだった。
おじさんの転勤は3年と期間が決まっていて、また戻ってくるから翔は家から歩いて20分程にある祖母の家に居候することになった。
つまりは、翔はいなくなったりせず今のままだと。
『ま、3年はお隣さんじゃなくなるけど…。』
にやにやしながら翔が聞く。
『そんな、泣くほど俺と離れたくなかった?』
…顔が暑いデス。
『だって、お祭りの時だってすごく気になる言い方したぢゃん!まるで来年はこれないみたいな…。』
ふっ…と翔が笑う。
『お前ねー。自分で気付いてないみたいだけど、結構モテるんだよ?だから、来年彼氏なんかできちゃったら一緒に来てもらえないかと思ったんだよ。お隣でもなくなるから、一緒に行く理由ないじゃん。』
なるほどー。知らなかった。両思いだったのか…。
『言ってくれれば良かったのに。』
翔が言ってくれれば、もっと前から付き合えたのに。
『何言ってんだよ。振ったくせに。』
えっ…とそれはどういう?きょとんとする。
『奈美が好きだって、みんなの前で言ったはずだけど?〔幼馴染み〕で片付けられて、俺がどんなに切なかったか…。』
『だって、冗談みたいに言ったじゃん。』
翔が溜め息をつく。
『ああ言わなきゃ、幼馴染みに戻れなかったろ?』
そりゃそうかも…。気まずくはなったな…。
『ごめん。』
後悔先に立たず。自分で自分を追い込んでいたらしい。
落ち込んでいると、翔が頭をぽんっとたたく。
『また、来年も花火見ような』
あたしは頷いた。
来年は幼馴染みじゃなく、恋人として…。


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