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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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飃の啼く…第24章-6

「我らの暦にして夏至なる今宵は、更待月(ふけまちのつき)を空に抱きて、日ノ本八長、ならびに勇おしきつわものたる御身らの参集に、青嵐に代り御礼申し上げる。

ついては、来る我ら国津神と、澱みとの大戰(おおいくさ)に加勢せんと、兵を挙げられる将、名乗られよ。これなる侍従、虎落が謹んで御名頂戴仕る!」

まず、一人が立ち上がった。

―蝦夷狗族の長なるエエンレラ、坎軍 (かんぐん)三百を率いて、参上仕(つかまつ)る。

―越後狗族の長なる吹雪、艮軍(こんぐん)二百と共に、戦場(いくさば)に参じ奉(たてまつ)る。

―武蔵狗族の長なる飃、二百五十の震軍(しんぐん)の勇戦、御眼にかける。

―近畿狗族の長なる南風、凛乎たる三百の乾軍(けんぐん)と共に、お供仕る。

―中国狗族の長なる颶、二百二十の兌軍(だぐん)の忠勇、献上奉る。

―四国狗族の長なる御祭、二百八十の巽軍(そんぐん)にて、怨敵の殲滅を誓約いたす。

―九州狗族の長なるウラニシ、我が離軍(りぐん)誇る三百の剛勇が、凱歌を奏し奉る。

―琉球狗族の長たるウティブチ、焔(ほむら)の如き百八十の坤軍(こんぐん)が、修羅の同道仕る。



頭からつま先まで、びりびりと痺れて居た。見上げる八長の面差しは凛と冴え、燃えるような金の瞳が、皆一同に青嵐に向いている。

「しかと承った!」

青嵐の声がその場の異様な高揚感を更に高めた。

「この青嵐、我が青嵐(せいらん)の旗の下、四百のつわものを率いて共に戦場に立つ」

そして、彼がゆっくりとうなずくと起立していた八長が腰を下ろした。

「他には蛇族、烏族(うぞく)、雪妖衆、土地神…それから数多の妖怪が各々協力を申し出ております」

「龍族は」

ウラニシが真剣な顔で声を上げた。

「龍族は、未だ援兵の請いに応じてはくれません。弟の颱が再三足を運んではいるのですが」

颶が言った。

「龍達はこの国に属する神ではないからの…それに、彼らの住処まで澱みの手は及ぶまい。応じてくれぬのも無理からぬ事かもしれんのう」

背中を丸めて、ウティブチは胡坐の膝に肘を乗せた。

「それにしても無責任というか、あまりに冷たいじゃねえか、え?」

御祭は髷が曲がるのも気にせず、頭の後ろをぼりぼりと掻いた。

「龍だけじゃないさ…土地神にしても、妖怪にしても、思っていたよりも加勢は少ない」

吹雪が言う。


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