飃の啼く…第24章-25
「そうだな…」
その時、青嵐会の本部の重い扉を潜り抜け、一つの澱みが夜の闇の中に現れた。
「はーん…」
手には、氷付けにされた、無の体の一部が、瓶の中に入れられていた。澱みはそれを無造作に宙に放り投げて、またキャッチした。
「こんなもんで何をするつもりなのかねぇ…父上様は?」
彼は呟くと、黒い闇の空よりも冥い、こうもりのような翼手を広げて、飛び立った。
鳴り止まない雷鳴に、地上の人間達は首をかしげているだろう。
しかし、その雲の下を行く彼は知っていた。
もう二度と、人間達がその雲の向こうを見ることはないということを。