「瓦解する砦」-2
「さぁ、膝をつくんだ」
楼に戻った舞は、主の手により縄化粧を施された。
そのまま連れ込まれた場所は見たこともないタイル張りの部屋。
壁際に正座させられると、両手を大きく広げさせられ、壁に取り付けられた枷を填められてしまう。
「…ここがどこか分かるか?」
怯えたように舞は首を振った。
「トイレだよ。ただし、普通のトイレじゃない。便器は舞、お前がなるんだ」
楼主の目が細くなった。
「舞の首から下は便器になるから、好きなところに掛けて貰うといい。その後は、舞の口でお清めするんだよ」
舞の躯が強張りを見せる。
「そ…ん…な…」
歌うように楼主は続けた。
「それだけのことを舞はしたんだ。“花姫”が客以外の男を取るなんてね。これでも甘い処分だよ」
それを言われてしまうと舞には返す言葉もない。
「それとも、このまま店先に吊して、お客さんに順番に突っ込んで貰おうか」
楼主の顔に笑みはない。
「淫乱な舞には、その方がお似合いかもね。ただ、いつものお客さんと違って、外にいる人は何をするか分からないけど」
嫌な想像が頭を掠めて舞は怯えた。
「いえっ…このままでいいです」
舞の言葉に楼主が笑った。
「言葉の使い方、間違えてない?」
その声はとても笑っているようには見えなかった。
「舞、こう言うんだよ。『店の外でも男を漁るふしだらで淫乱な舞を、どうかご主人様とお客様の便器にしてください』って」
舞の膝の上に楼主の足がかけられる。
震える声で舞は懇願した。
「み、店の外でも男を漁るふしだらで淫乱な舞を、どうかご主人様とお客様の便器にしてください」
楼主が満足そうに頷いた。
「よし。ちゃんと客の前でもそう“お願い”しろよ」
力なく頷く舞。
「じゃあ、まず俺が試しに便器を使ってやる」
楼主は自ら股間のファスナーに手をかけた。