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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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Stargazers-6

「くそっ!死ね!この野郎!!」

嵐の如く風をはらんだ彼の小さな拳が、機体後方を突き上げた。突然の衝撃に機首が下がり、スピードを維持したまま海面に進行した。F-15戦闘機は、突然敵意を持った空気に、進行を拒まれるようにそのまま海へ突っ込んだ。

「次はお前…!!」

首がもげようかというほどの衝撃を受けて、頭が激しく揺れた。慣性の法則に引きずられ、もうすこしだけ前に進んだ後、今度はものすごい勢いで後方に連れ去られた。自分を止めたのが誰の手かはわかってる…カジマヤは、衝撃とスピードに頭を慣らしながら思った。

「馬鹿な真似をするな、カジマヤ。」

「兄貴…」

先ほど自分が出したスピードに比べれば、幾分穏やかな速度で、兄は彼を運び去った。兄の大きな肩に担がれて、もうもうと煙に立ち込める海を見る。カジマヤの心の中の炎はもう…収まっていた。海から滲んで空に流れるような真っ黒の煙のように、不穏な感情はまだ彼の心の中に立ち込めていたが。

「兄貴、おろして。」

「だめだ、お袋と長のところへ連れて行く。」

皆が心配していることを、カジマヤは知っていた。ウリジンベに何が起こったかは、もう村中に知れ渡っているだろう。ウミカジが弟の姿を探して周囲の海を探したことは簡単に想像できる。彼はまだ、子供だから。

「いやだ!おれはウリジンベのところに行く!!」

そして、兄の腕をかいくぐって海へ戻った。

「カジマヤ…!」



こんなのは予想していなかった。

「ウリジンベ…!」

彼の体は、もうほとんど失われていた。衣服も燃えて、肌はひどいやけどで覆われていた。まだ、熱を持っていることを恐れるように、ためらいがちに友人の頬に手を触れる。熱を恐れた彼の指は、冷たい肌に触れた。

冷たい…。

冷たい。

「うわあああ!!!」

全ての感情が波のように戻ってきて、カジマヤは友人の硬化した身体を抱いて泣き叫んだ。彼の中にあなじが生きていたら、おそらくこの時点でカジマヤの正気は失われていただろう。しかし、考えようによっては不幸なことに、カジマヤはその悲しみと憎しみの全てを、自分の正気で受け止めなければならなかった。

何かにすがって、この悲しみや憎しみを癒すことなど彼は考えなかった。

「畜生…畜生…!」

彼が、一体なにをしたというのだろう。森(すみか)を失い、澱みに追われ、爆音に引き裂かれ、そうやって生きてきたその最期が……これ。

…これなのか。


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