投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

「保健室の小さな秘密」
【教師 官能小説】

「保健室の小さな秘密」の最初へ 「保健室の小さな秘密」 42 「保健室の小さな秘密」 44 「保健室の小さな秘密」の最後へ

想いの輝く場所(前編)-1

木漏れ日がキラキラとグラスに反射する。
店内はランチの時間が過ぎ、人がまばらになった昼下がりのカフェ。

「いいか、悠。お客さんをナンパしないこと」
「しません」
「お客さんからナンパされたら…まぁそうだな、店の名に傷がつかないよう丁重にお断りすること」
「…はい」

「何で悠ばっか言うんだよ、兄ちゃん」
隣で健介が膨れながらマスターに言う。

「お前にはかわいい愛チャンがいるだろ、だから心配はしてないよ」
宥めるようにマスターが言う。

「それから、ここでは兄ちゃんではなくマスターと呼べ」
「あっと、そっか」

…なんだこの兄弟。ブラコンにも程があるだろ。
っていうか、オレにだってちゃんと奏子という彼女がいるんですけど!!
と大声で叫びたい。まぁムリなのはわかってるから黙って健介に話をふる。

「健介はバイト明日からだろ、なんで今日いるんだよ」
「そんなの、面白いからに決まってんじゃん!」
兄弟で顔を見合わせてニヤっと笑う。
まったく、この兄弟は…。

白いシャツに細めの黒いズボン。ネイビーのエプロン。
なんでオレがこんな格好でウエイターをしているか、ということを説明するには一週間程前に遡らなければならない。


一週間前。
「悠、おまえさ休みに入ったら免許取りに行くよなー?」
健介がサンドイッチをくわえながらきいてきた。

「ん?うん、その予定」
同じくサンドイッチを頬張りながら返事をする。
来週2月からは高校三年生は家庭学習期間って事で学校に登校しなくても良くなる。
その時間を使って大学が決まってるオレや健介は自動車学校に行く予定にしてるんだけど。


「そこでだ、バイトしないか!?」
「…なんか話飛んだな」
オレの皮肉を華麗にスルーし、健介は続ける。
「オレの兄ちゃんが経営してるカフェ、今人手不足らしくて。入学式までだけでも手伝って貰えると嬉しいんだけど。オレも手伝うし。頼む!」


…とまぁそんなわけで。
今に至る。

健介の兄ちゃんには昔から色々世話になってるし、まぁいいか…くらいに始めたバイトだったけど。

でもなーんか。
目の敵にされてるというか…。

理由を聞けば、すげー真面目な顔で『オレより身長が高くなったから!』だそうだ。
しかも若干涙目で。

「昔は女の子のように可愛かったのにな〜」
カウンターの中から頬杖ついたマスターが呟き、よよよとわざとらしく泣き真似をする。

ちっ、思い出したくもないことを。

心の中で舌打ちをした時だった。
カランカランと来客を告げる鐘が鳴った。
「お〜、やってるじゃん」
クラスメートたち数人が様子見にやって来た。
何も初日に来なくったって。それでなくてもこういうのを見られるのは恥ずかしいってのに。
そもそも受験生が何してるんだよ…。
っていうか、バラしたの健介だな。

さっきまでカウンターにいた健介もみんなの輪に入り騒いでいる。チラッとマスターを見ると、小さく顎で行けの合図。


「保健室の小さな秘密」の最初へ 「保健室の小さな秘密」 42 「保健室の小さな秘密」 44 「保健室の小さな秘密」の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前