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「保健室の小さな秘密」
【教師 官能小説】

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想いの輝く場所(前編)-2

「ご注文は…?」
口々にシフォンケーキだ、紅茶だと言うのを書き留めていると、くいっと袖を引っ張られた。

「似合ってるね、悠」
「…サンキュ、美和は?注文」
「うーん、カフェラテ。寒いからホットで」
「ホット…と。では少しお待ちください」

背を向けると後ろから笑いをこらえる声が聞こえる。
まったくやりにくいったらありゃしない。

カウンターにいるマスターにオーダーを通す。
マスターがカップの用意をしながら、
「あの子が悠のカノジョ?」
こっそり耳打ちする。

「ち・が・う!」
わざと耳元で大きく反論する。
「鼓膜破れるだろー!」
大騒ぎするマスターを放っておいて。

美和は元セフレなだけで、彼女でもなんでもない。好きだとか言ったことも、言われたこともない。
まぁ友人程度の好意は持たれてるとは思ってたし、セフレでズルズルっていうのも嫌だったし。
きちんと好きな人出来たから困る、これからはちゃんと友人として付き合おうって真面目に言ったのに。

未だ信じていないのかちょっかいだしてくる。
この間なんて、悠は誰にも本気にしないもん、とまで言われる始末。


「コラコラ、眉間にシワ寄せないで。笑顔笑顔」
マスターの言葉にむに〜っと口元だけ笑ってみせると、マスターは非常に微妙な表情をした。
外を見れば、街路樹の下に寄り添うカップル。

ああやってデート出来るのを少しだけ羨ましく思う。
奏子と、あんな風に外を二人で歩ける日が来るのだろうか。

卒業してもムリだろうなぁ。

小さくため息をついていると、
「はい、持ってって」
マスターが別のお客さんのカップを差し出す。

トレーにのせていると、来客の鐘が鳴った。
「いらっしゃいませ…」
振り返った瞬間、心臓が一際大きく高鳴った。

見間違うはずもない、大切な人。

向こうも俺に気付いたらしく、一瞬大きく瞳をひらいて、口が『ゆ』と言いかけた時。

「あれー、美月先生!!」
健介の声で我に帰る。

そ、そうだった。こいつらいたんだった。ヤバいヤバい…。

鼓動が速くなって、額に変な汗をかいてしまった。

「生徒さん?」
隣の友人らしき女の人が奏子に問う。
「――うん、学校の生徒なの」
どぎまぎした様子で奏子が応えながら、健介達の席に近寄る。
「みんな、こんな大事な時期にフラフラしてー。風邪ひかないように気をつけるのよ」
みんなが返事すると、じゃあねと軽く手を振って窓際の席に腰掛けた。


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