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「保健室の小さな秘密」
【教師 官能小説】

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「保健室の小さな秘密」-1

放課後の保健室。
「かーなこ!」
その男は静寂を破り、明るい声で部屋の中に入って来た。
その声に私は振り向かず、机に顔を向けたまま
「…先生でしょ」
少し冷たい声で言い放つ。

彼は何も言わない。
気を悪くさせちゃったのだろうか。
そ…っと後ろを振り向く。
その瞬間、私のメガネを素早くはずし唇を塞ぐ。
「!!」
私は慌てて体を突き飛ばしてしまった。
「ちょっ…!誰かに見られたらどうするのよっ!?」
「いてて、すげー力」
おおげさに胸元をさする。
失礼ね、そんなに強く押してないわよ!

「いくら放課後だからって人が通るかもしれないでしょ」
咎めるように強く言った。
「誰も通らないよ、この時間部活で残ってるやつらは部活棟か運動場だし。…まぁ美月センセイが大声出さなければね」

う…何も言い返せない。
「はは、美月先生、顔真っ赤。もしかして…感じちゃった?」
「!!」
ゴツっと一発頭にゲンコツをお見舞いしてやった。

私は美月奏子(みつき かなこ)。ここの高校のいわゆる保健の先生。歳は…24。
そして目の前で頭をさすりながら涙目になってる男。雨宮悠(あめみや ゆう)高校三年生…。
そう、高校三年生。
六歳も年下の男の子にいいようにあしらわれてる自分が情けない…。

 最初がいけなかったわ。
こいつが同じ高校の生徒だなんて知らずに…、その、関係を持ってしまったから―。

初めて会ったのは、地下鉄の中で。痴漢にあってる私を助けてくれたのが出逢い。
お互い私服だったから、まさか生徒だなんて思わなかった。
私服姿の雨宮くんは、ちょっと高校生には見えなくて。
サラサラの茶髪に、整った顔立ち。ちょっとそこら辺にはなかなかいないかっこ良さだった。
うん…まぁ好みだったのよね。そこは認めるけど。
でも生徒だったんなら話は別よ!

「はい、雨宮くん!仕事のジャマよ。帰りなさい!先生は仕事片付けて家に帰ります」
机に置かれていたメガネをかけながら言う。

おぼろげだった視界がクリアに変わる。

出来たら忘れたいわ。
この子が来ると、心臓がバクバクして、息苦しい。
のめり込む前に…、忘れなきゃ。

机に散らばった書類をかき集める。
「いたっ…」
慌ててたせいで、紙で指を切ってしまった。
指に赤い線が走る。
消毒を…と後ろを振り返ると。
急に抱き寄せられ、切った指先に温かいものが触れた。
雨宮くんの…唇。
ドキッと心臓がはねる。
「ちょ…放して…」
抱きすくめられてるせいで、さっきみたいに突き飛ばせない。
西日を受けて雨宮くんの茶色い髪がキラキラ光る。
それがまたあまりにもキレイで。自分でも気付かずに、見つめてしまっていた…。


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