「競泳水着が消えた日。・・・まるみえ?日本選手権」-9
そのときだ。
例のネクタイ姿の中年たちが、
一斉に机の上の器具を、目に当てた。
大き目の双眼鏡だ。
女子選手たちの、裸の尻が揺れている。
この光景を、中年男たちが、双眼鏡で覗いているのだ。
本部席とスタート台は、15〜6m離れているが、
あの大きい双眼鏡なら、
目の前いっぱいに、彼女たち尻が、
広がっているだろう。
ピッ、ピッ、ピーーーーッ。
スタート台で構えた彼女たちは、
尻をこちらに突き出している。
ボトムパッチ越しに、
ぱっくり割れたハマグリが、あらわになった。
わざとなのか、不注意なのか、
肛門をパッチで覆っていない選手もいて、
茶色く色素が沈着した菊のつぼみを、さらしている。
「たまりませんな・・・。」
「7コース。痔核が見えますよ・・・。」
「3コースの娘なんか、あそこが濡れてますよ・・・。」
男たちのささやく声が、わずかに聞こえた。
3コースに目をやると、
確かにベージュ色のパッチのあの部分に、
500円玉くらいの大きさの染みが見える。
恥ずかしい姿を見られているという意識が、
性的興奮を誘い、濡れてしまったようだ。
「そういうことか・・・。」
おおかた、この男たちは、
水協の大口スポンサーなのだろう。
山田は、そうのように解釈した。
仕事に戻るため、通路を歩いていると、
後ろから声をかけられた。
「山田先生。」
そこには、平泳ぎでオリンピックに出場した
選手がいた。
神奈川県水協所属の山田は、
横浜の大学に通う彼女とは、顔なじみだ。
おっとりした性格の、かわいい娘である。
隣には、数年前、美少女スイマーとして
写真週刊誌で話題となった選手もいる。
「浮かない顔をしているね。」
「ちょっと緊張していて・・・。」
これからハレンチな格好で、人前に出るのだ。
緊張しないはずがない。
「レースに集中して、精一杯泳ぎなさい。」
「はいっ。」
少し微笑えんだ表情が、かわいらしい。
「●さんもね。」
「☆! はいっ。」
●は、突然名前を呼ばれ、
少し驚いた顔をしながら、微笑んだ。
こちらも、くりくりした目が愛らしい。
彼女たちの後姿を見送りながら、山田は、
その、お●んこを想像し、ほくそえんだ。