「続・嘆息の時」-4
「あ、あの〜、明日は休みなんで……僕なんかでよければお供しますけど?」
照れながら、やんわりという柳原。
その言葉に親子は揃って顔を見合わせ、わあっと嬉しそうに歓声をあげた。
二人の表情は本当に嬉しそうで、言った柳原も白い歯を覗かせながら純粋に微笑んだ。
話が決まるや否や、早速まわりに気を配りながら明日の打ち合わせをこそこそと始める三人。
柳原は、はい、はい、と首を大きく二度三度ほど縦に振ってから、元の凛々しい姿に戻って親子のテーブルを離れた。
少し照れたような表情で店の奥にあるパントリーへ向かうと、そこには愛璃の姿があった。
「あの親子、店長が行くと本当に嬉しそうな顔をしますよね」
食材の在庫整理をしながら、愛璃が微笑を浮かべて言う。
「そ、そっかなぁ〜? まあ、ほら、あれだ! 食事の割引券をあげたから、それで気を遣ってんだよ。うんうん」
そう言葉を返しながら、柳原は密かに自分を罵った。
(な、なに言い訳がましいこと言ってんだ、俺ってやつは? あんな事されといて、まだ未練タラタラじゃねーか!? なんとも情けない……)
静かに溜息をつき、チラリと愛璃の顔を伺ってみる。
まだ微笑を浮かべたままだが、どうもいつもとは感じが違ってみえた。表情に硬さがあり、どこかよそよそしい感じがする。
もしかしたら、後ろめたさを感じているのだろうか……だったら、
『あの篠塚さんみたいな人がタイプなんだ』
と言ってやれば、愛璃も少しは楽になるのかもしれない。
柳原は瞬時にそう思った。
しかし、それを口に出そうとはしなかった。
何も言えぬまま、その場を離れてひとり店長室へと向かった。
その日の夜は、周りすべての外音を消し飛ばすほどの大雨が降っていた。
シンと静まり返ったマンションの一室。
その室内にある薄暗い寝室では、悩ましい男女の息遣いが雨音に混じりながら淫靡に絡み合っていた。
「ああっ……んっ……」
むっちりと張った太ももを大きく開き、その中央にある淫らな花びらを丹念にしゃぶり上げる男。
縦に割れている魅力的な膨らみを指でグイッと開き、そこから覗いてくるピンク色の内肉へも舌をネトッと這わせていく。
男の愛撫に可愛らしい反応を見せている女も、眼の前でヌッと逞しく隆起している肉棒にキュッと指を絡め、それを愛しそうな手つきで上下に扱いていた。
「愛璃ちゃん……口で……頼むよ」
悩ましい女の手つきに、沢木が焦れたように腰を突き上げる。
愛璃は、握りしめている肉棒の先端にそっと唇をかぶせた。
「うっ……くっ……き、気持ちいいよ、愛璃ちゃん」
舐めこねていた陰唇から思わず口を離し、沢木が痺悦の歓びを漏らしていく。
愛璃は、肉棒の半分までを呑み込んだところで、いったん顔を引いてそれを吐き出した。
そして、すぐに肉棒の裏側へとピンクの舌先を押し当てていった。
右手で肉棒を掴み、裏の筋へツツーッと舌先を走らせながら唾液をたっぷりとまぶしていく。それを何往復かしてから、今度は舌の柔らかい腹部分をグッと押し付けて、根のほうからエラのほうまで強く舐めあげた。
先端の亀裂から、ジワッと引っ切り無しに喜悦の涙が滲んでくる。