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Blossom
【学園物 官能小説】

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Blossom-4

でも、いきなりすぎた。

(せっかく…忘れてたのに)


アンナはひとりでに流れる涙を悟られないようにマットに体をのせ、外をうかがうふりをする。マットに頬の涙をおし付ける。

何の涙だ?



「キョウヘイ彼女とうまくいってる?」


顔も見ずに聞く。

「まあまあだよ」


後ろから面倒臭そうな声が聞こえる。

まあまあ?
アンナからはキョウヘイはロボットのように完璧な人間に見える。一年間同じクラスなのに、一回もかっこわるいところは見たことがない。モテるし。
ハーフっぽい顔で悪ぶった性格、なのに頭がいい。まるでマンガのキャラクターみたいだ。


きっと模範的な恋愛をしているんだろう。
ソウが相談したくなるのも分かる。


「いいなぁ、ラブラブか」

「…泣くほど悲しいの?」

「!泣いてなんか…」

見透かされていたのが恥ずかしく、思わず振り向く。瞬間、涙が一筋頬をつたい、アンナの気丈さは儚く散る。
(あ…やだ…はずかし…)
涙が出るなんて始めてだ。再びキョウヘイから顔をそむけ、マットに顔をおしつける。吐く息が熱く感じる。
(…何で?とまんない)
突如として流れ出た涙は、止まることなく頬を濡らす。ぽろぽろ、とマットを涙に濡らしていく。
(どうしよう、気まずくなっちゃう…)

振り向けずに戸惑っていると、手のひらで撫でられる感触が伝わった。

「アンナ…なぐさめてやるから、泣くなよ」
キョウヘイはアンナの頭を撫でる。手つきは優しく、悲しさと恥ずかしさで硬くなったアンナの心も和らいでいく。キョウヘイは、アンナに対していつもからかった言葉を放つ。そんな彼が行う不意の優しさは、何故かじんわりと心を溶かす。しかし、優しさが痛く感じるかのように涙はとまらない。

「こっち向けよ」

「…うん」

キョウヘイは、真剣でいて、優しく、アンナを見つめてくる。手のひらは頭に乗せたままだ。

「今でも好きなのか?」

「…もう恋愛感情はないよ」

「…じゃ、何で泣くんだよ」

「…自分なりに好きだったのに、うまくいかないし、友達にも戻れないし…」

戻ろうと努力はしたのだ。けれど、自分のせいなのか相手のせいなのか、今までどうやって話していたのか分からない。みんなの前だと普通なのが、二人きりになると途端に頭が真っ白になる。


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