Blossom-11
「…えっ?」
「だめ?」
「え、別に、いいけど…」
ユキは、「キャ」と高い可愛らしい声をだした。ヒロトはそんなユキを見て笑いながら頭を撫でた。ヒロトは問う。
「ソウ、それって、どーいう…」
「まぁ、それは返事をもらってから」
再度「キャー」とユキは顔を覆う。ソウは少し眉をひそめた。
気まずい空気が流れる。ソウの憮然とした不器用な態度が時々こういう頑固さで現れる。すると、場を取り繕うかのようにキョウヘイが言った。
「えー。またカップル増えるのかよー」
みんなが驚いた顔でキョウヘイを見る。
「だって、ヒロトとユキ、もう付き合ってるようなもんじゃん」
二人は顔を見合わせた。ユキは真っ赤になって俯き、ヒロトは「まぁな」と笑った。
「俺、彼女と別れたばっかなんだよなー」
アンナが小さく「えっ」と言った。ソウはちらり、とアンナを見る。その視線を感じてすぐに口を閉じる。彼女と「まあまあ」ってそういう意味…?
「だから、これから1週間、アンナは俺のパシリな!邪魔するわ!」
妬んだような、どこかふざけた言い方は笑いを誘った。リサがプッっと噴出し、つられてみんなが笑い出す。
(…え、……それって、もしかして…)
ソウは「しかたねーなー」という。
「じゃ、1週間後また二人きりの時にいいなよ!」
ユキは気を利かせたつもりでいったが、アンナはまたもやどきりとする。
「アンナ今日俺のチャリこいで帰れ」
嫉妬を誘うように言いみんなは笑う。一瞬で場が和む。
(…うまくかばってくれた……)
アンナはキョウヘイの手腕に舌をまいた。
(…でも、何でソウはいきなりみんなの前であんなこと言ったの…?)
みんなと別れた後、結局アンナは一人で帰った。キョウヘイは「猫は一人でも家にたどりつく」と無礼にもアンナを猫扱いし、一人で帰る流れになったのだ。
ユキとヒロトは二人きりになると手をつないだ。