愚かに捧げる2-1
中田真理子は恋人のことを信じていた。恋人が、金をもらって自分を痴漢させていることなど、夢にも思わなかった。
痴漢にあったその日、真理子は敏樹に自分の身に起きた出来事を話そうか、ずっと迷っていた。自分の身が恋人以外の手で昇天してしまったことは敏樹に対する裏切りに感じられたのだ。だが、敏樹に余計な気を使わせたくなかったし、もしかしたら軽蔑されてもう一緒の電車で登校してくれないかもしれないと思うと怖くて言えなかった。
そして、そんな真理子の高校生特有のジレンマも、敏樹の計算範囲内だった。
(ああ・・・今日もだ)
翌日も、敏樹と電車に押し込められた途端に手が太ももを這い回った。きっと、昨日真理子が何の抵抗もしないことに味をしめたのだろう。だが、今日は左右の男は真理子と反対方向を向いている。痴漢は後ろの男一人のようだった。
勿論敏樹はそんなこと気づかない。少し辛そうに目を閉じて真理子に囁いた。
「マリ・・・ごめん、俺、昨日遅かったんだ。ちょっと寝てていい?」
真理子にNOと言える訳はない。そもそも自分のために早く出てきてくれているのだ。
・・・だが頷くことは、今日も敏樹の助けは期待できないという諦めの表れでもあった。
今日は敏樹は真理子の手を握っていない。真理子は、勇気を出して鞄を持っていない方の手でごつごつした痴漢の手を掴んだ。きっと、痴漢は検挙を恐れて動かないでくれるだろう・・・。
だが、次の痴漢の行動は真理子の予想を超えたものだった。
あっさりもう片方の手で真理子の手を掴むと、自分の股間に導いたのだ。もうそこはすでに硬く熱く張り詰めていた。
(い、いやっ)
条件反射で真理子が腕を引く。敏樹と寝たことはある。彼の男性自身に触ったこともある。でも見知らぬ男のなんて見たくもない。ましてや、触るなんて!
汚らわしいものを触ったかのように一生懸命スカートで手をこする真理子を見て、微かに鼻で笑う気配がした。不快だったが、真理子には何もできなかった。
当たり前のように手はスカートの中に入ってくる。そして、簡素な下着を少しずつずり下げて行った。昨日の抜き取られた紐パンはこの男が持っているのだろうか・・・。痴漢対策にと思って生地の大きめな下着を穿いてきたのだがやはり無意味だったようだ。
指が優しく割れ目を撫でる。時折敏感な突起を掠めていく。痛みはなかった。だが、しばらくすると真理子は内部で何かが蠢くのを感じた。優しい指使いに合わせて入り口が収縮しているのだ。まるで、早く入れてほしいと言うように。真理子の意思に反して、そこは少しずつ濡れ始めていた。
入り口が湿り気を帯び始めたことに気づいた痴漢は、ご褒美と言うように人差し指と中指をゆっくり押し込んでいった。真理子は息を止めてそれをやり過ごす。自分の肉体がその指を歓迎して収縮している事実は認めたくなかった。だが、奥まで入った指は動かず、敏感な突起に当てられた親指が振動を始めると嫌でも思い知らされる。
敏樹とも、もうずっと長い間していないのだ。性に目覚め始めたばかりの真理子はこの快感を逃がす術など分からなかった。
また達してしまいそうだった真理子はぼんやりした頭で気づいた。真理子の中に入っている指はそのまま、もう片方の手を痴漢がごそごそ動かしている。ポケットから何か取り出しているのだろうか・・・。早く、中の指を動かしてほしいのに・・・。
だが、指は少し動いただけで抜き去られてしまった。
(どうして・・・)
ほっとした気持ちと残念な気持ちを持て余しながら、真理子は服装の乱れを正そうとした。だが、痴漢の手がまた入り込み、真理子の足を閉じることを許さなかった。
最も、中途半端なところで下着が絡み付いているため足を開いたと言ってもわずかなものだったが。
さっきまで指を受け入れていた部分の入り口を、今度は親指と中指で押し広げられた。
まだ続くのかとうんざりした真理子は、ひやっとした感触をそこに感じた。