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陽だまりの詩
【純愛 恋愛小説】

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陽だまりの詩 epilogue-2

***

あと三十分ほどで運動会が始まる頃、俺とお父さんは喫煙所で話していた。

「美菜はどれに出るんだ?」
お父さんが煙を吐きながら言う。
「えっと…準備体操と玉入れとかけっことクラスリレー…あと父兄リレーです」
俺はピンクの用紙で可愛く作られたプログラムを読みながら言った。
「よく走るなおい」
「美菜のやつ、かなり足速いらしいみたいですよ。出る競技が決まったときも俺に自慢してましたし」
「そうか」
「はい」
「で、父兄リレー?」
「やっぱり食いつきましたか…」
「当たり前だろ」
この人は本当に出たがりだからな…
気付かないかと思ったけど、やっぱりお父さんだ…
「…なんか、園児が父兄と手をつないで一緒に走ってバトンを渡す競技みたいですよ」
俺がざっと説明すると、お父さんは腕を組んで、こくこくと首を縦に振っていた。
「…そうか、よーくわかった」
「って待ってください、出る気ですか?」
「当たり前だろうが」
「俺がいるんですけど」
「そりゃあもちろん選手交代だろ」
「いやいや」
そう言うも、お父さんはタバコをくわえたまま凄んでくる。
お父さんは四十歳を越えたが、見た目はむしろ昔より若返っており、かなり元気だ。
「美菜だって俺のことを友パパ、友パパとうれしそうに呼ぶぞ」
「……」
言わずもがな、お父さんは美菜の祖父である。四十ちょっとの若さで。
なので流石のお父さんも、おじいちゃんと呼ばれるのには抵抗があるのか、名前の友人(ゆうと)からとった友をつけて友パパと呼ばせていた。
俺もパパなのに、お父さんのことを友パパと呼ばせるのは癪だが、まあしょうがない。
俺はいつだってお父さんには逆らえないのだから。


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