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陽だまりの詩
【純愛 恋愛小説】

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陽だまりの詩 19-4

***

検査もその日に終わり、翌日、奏は退院することになった。
足の怪我があるので通院は頻繁に行わなければいけないが、治りは割と早いようだ。

そして俺はこの後、お父さんに誘われて家にお邪魔することになった。

何気に奏の家に行くのは初めてなので緊張する。

それにしても、数日分の着替えを持って来いとはどういうことだ?


「どうせ仕事は休みだろうが。家で毎晩飲み明かすぞコラ」


思い返せば、別れ際にそんなことを言っていた気がする。

でも、俺は家族の一員になれて純粋に嬉しい。
お父さんやお母さん、もちろん奏もそう思ってくれているだろうか。

俺もこんな暖かい家庭で育っていれば、こんなひねくれた性格にはならなかったのかもしれない。

昔の俺ならそう家庭環境を悔やんで腐っていた。
でもそれは結果論だ。
俺は自分と周りの力を信じてここまで来たんだ。

人は変われる。

それがわかった。


俺は一人、自宅に戻ると着替えなどの準備を始めた。
「…美沙」
ふと、美沙の写真に目がいった。
「一人にすると可哀想だし、お前も来るか」
そう呟いて、写真も一緒にバッグに入れた。


美沙、誰よりもお前がここまで俺を引っ張ってくれたんだよな。

大丈夫。ちゃんと約束は守るから。

最後まで見守っていてくれ。


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