陽だまりの詩 18-1
仕事から帰宅する途中、突然携帯が鳴った。
…奏か?
やっぱり今日も会いたくなったのか?
可愛いやつだな。
そんなことを考えながら携帯を開くが、知らない番号からだった。
「誰だ?」
今度は何も考えずに通話キーを押した。
「…はい」
「春陽か!?」
お父さんだった。
いつ奏から聞いたんだろうと考えたが、それよりも何故か様子がおかしい。
「はい、俺です、どうしたんですか?」
「今…!どこだ!?」
荒い息をして、半ば怒鳴るような声をあげるお父さん。
「どこって、さっき仕事が終わって帰宅途中ですけど」
すでに辺りは暗くなってきている。
「いいか!?よく聞け!奏が交通事故にあった!」
「……え?」
信じられない言葉が飛び出した。
嘘だろ?
「え、じゃねえ!重傷らしい!俺も母さんも今病院に着いたところだ!」
重…傷…?
「なに黙ってんだ!集中治療室にいるからな!急いで来い!」
「……」
頭の回転は追いつかなかったが、足は自然に動きだした。
奏が交通事故?
どうして?
外出したのか?
だが、混乱した頭は、次第に怒りを覚えてくる。
「はぁっ…はぁっ…」
神様は不公平だ、と。