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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』
【学園物 官能小説】

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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.9-4

3年5組40番 吉田桜
『コンプレックスに勝るセックスを体験せよ』

長身の二人が肩まで浸かる辺りには、家族連れもカップルもいなく波の音だけが響いていた。
「桜ちゃん、こっち向いて」
少年の腕の中で背を向けて抱きしめられていた少女が、顔だけで振り返る。そこを待っていたと言わんばかりに唇を重ねられる。
ジリジリと肌を焼く太陽。大海を渡ってきた涼やかな風。何度も寄せては返す海原。
遮るものは何も無く、咎めるものも何も無い。
「大好きだよ」
唇の隙間から愛の言葉が零れる。
キスを繰り返しながら少年の掌が白いビキニをなぞる。うっすらと膨らんだだけの胸元。初めはあんなに拒んでいたのに、今では愛でられることに喜びを感じている。
「あたしも、、すき」
抱きつく形で耳元に囁く。
少し背の低い少年だけれど。肩は広く、掌は大きく、節々の力強さに惚れ惚れする。
二人で笑い合う。夏はまだこれからだ。





3年5組7番 瀬田和馬
『今までに無いセックスを考え実践せよ』

自動販売機の前でぼんやりと昔のことを考えていた。もうこの学校に少年の愛する彼女はいない。
手にしたブラックコーヒーとオレンジジュース。そしてまたぼんやりと佇む。
「帰らないの?」
そう後ろから声をかけられ、ようやく現実へと戻った少年は、返事もそこそこ、足早に屋上へと向かった。

屋上入口の踊場で大学紹介本と職業案内書を抱え、先ほど買ったジュースを飲みながらページをめくる。
ベルギーへと旅立った彼女を追う。迎えに行く。だが、まだ自分は高校生。
大学を出て企業職に就くか、高卒のまま地元で職に就くか。
とにかく今はアルバイトをしなくてはならない。お金を貯めてドイツ語も勉強して。
道を選び、恥じない男になり、彼女を迎えに行く。
ブラックコーヒーを口に含む。素直に苦いと感じた。今まで背伸びしていた自分が恥ずかしい。
年上の彼女に似合うために、苦みも何もかも我慢して。
「苦い、よ。……先生」
噛み締めた奥歯。喉の奥が痛い。意地でも弱音は吐きたくなかった。だけど。

「……会いたい」

……涙が、滲む。

涙が止まったら、踵を下ろしてしっかりと自分の足で立とう。
少年は手の甲で瞼を擦る。もう泣くまい、と心に誓って。


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