陽だまりの詩 14-4
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当日は驚くほど快晴だった。
冬だということを忘れるほど気温も高い。
「心配して損したな」
なんてつぶやきながら奏の病室に向かった。
「よう、揃ってるな」
病室の扉は開いていたのでそのまま入っていく。
「揃ってるもなにも、三人だしね」
「ふふ」
「…なんでお前ら、そんな気合い入ってるんだ?」
奏も美沙も、今日は何故か可愛らしい服を用意していた。
「さらに、今日はあたしが奏にお化粧してみましたー」
美沙の言うとおり、奏は控えめに化粧をしていた。
普段は素のままだから、化粧した奏なんて考えたこともなかった。
やはりなんだか雰囲気が違う。
「どう…ですか?」
奏は照れながら俺に感想を求める。
「普段は可愛いけど、今日は綺麗だな」
言っておいて俺も少し照れてしまったが、奏はやはり顔を真っ赤にして固まっていた。
「それにしても、兄貴が持ってる包みってなに?」
ふふん、やっと気付いたか妹よ。
「お前ら、昼飯どうするつもりだったんだ?」
すると二人は顔を見合わせる。
「というわけで、早起きして弁当を作ってみましたー」
「おー」
「本当ですか?」
「さらにピクニックセットだ」
俺は左手に持ったバスケットを掲げる。
中にはビニールシートや小型のクーラーボックスなど、便利なものが押し込まれていた。
「結局一番楽しみにしていたのは兄貴だったってことね」
「春陽さん子どもみたいです」
「……」
なんか俺の威厳が全くなくなってきている気がする…
今更だけど。