異世界の放浪者 第六話-2
「あの〜…」
「んっ?なんか質問?」
ミルラがこっちを向く。
「女の子が泣く理由ってなにがありますか?」
不意にそんな質問をミルラに聞いてしまった。
「女の子が泣く理由?ポポさんでも泣かせたの?」
俺のほうに向き直り尋ねてくる。
「いや泣かせるようなことをした覚えはないのですが…」
「でも泣いたんだ…」
俺は縦に首を振る。
「なんかこの頃特別にあった?」
「特には…キスされたくらいですかね?」
「はい?」
「いやだから…二度も言わせないでください」
恥ずかしい…。
「それって特別なことじゃないの?」
「そうかも知れませんが…あいつ腕にしがみついてきたりしてきてるんでスキンシップみたいなもんだと思って…」
しまうんだ。でもいつものポポの様子とは違う感じだったりはしたかもしれない。
「ふーん…」
ニヤニヤ笑い俺を見て来る。
「なんですか」
「いやいやこんな子がポポさんの好みなんだなーって」
「ちょっ…!何言って!」
そう言ってケラケラ笑ったと思ったらちょっと真剣な面持ちで言った。
「そうね…泣く理由ね…。まぁ人それぞれ理由はあるわね。同じ女だからわかるって事でもないから…。悪いけど力になれないわね」
申し訳なさそうな顔をするミルラ。
「そうですか…」
「でもまぁ…」
からっと笑顔を作るミルラ。
「ポポさんが君の事が好きなように君もポポさんの事大好きなんだね」
「いやそんな…」
顔を横に振って否定をする
「それじゃ何故ポポさんの事を気にするのかしら?」
「それはだれだって…」
言葉がつまる。
ポポを気にするのは飼い主だっただから?友達として?ただのお節介?なんとなくだがそれは違うような気がした。
それ以前に俺はあいつのなんなのかわからない。
ただの命を救って貰った人…。
俺はそんな風に思って貰ってるように心の何処かで祈っていた。俺が元の世界に帰ったらポポに辛い思いをさせてしまうじゃないか…。だからそうゆう風に思ってくれてる事を祈っていた。
俺はもし自分が帰ったときに泣いたしまったポポの顔を想像してしまい落ち込む。
「悩む事は悪くないわ。でもね…悩んでもわからない事もあるのよ?人の気持ちは特によ。その人でないかぎりね」
「………」
確かにミルラの言ってることにはあっている。
ミルラは言ってる事は回りくどく直接本人に聞けとゆう風に言ってるようにも聞き取れる。
「私に言えるのはこのぐらいよ。申し訳ないけど…」
「いえ十分です。ありがとうございます」
深々と頭を下げた。
ポポのことを考えるうえで十分すぎるほどのアドバイスだったと思う。ポポのことだけは…。
「それともうそろそろ帰ったほうがいいわよ」
そう言ってミルラは空を指さす。空は段々明るくなってきていた。
「日がそろそろのぼるからポポさん起きるんじゃない?」
「あっ…やば!それじゃ失礼します!」
「ちょっと待った!」
俺の足に停止をかける。
「はい?」
ミルラのほうに顔を向ける。
「ここには生きてればいれる時間は無限よ。あと半月って思わないことね。あなたがここに来れるのは最初で最後。元の世界に帰ってまたここに来れることは限らないからね。よく考えなさい」
「………えっ?」
ミルラの言ったことはつまり…。
「はいわかったら行った行った」
ミルラはしまっていた杖を取り出し俺に向かって二回小さく振った。それに合わせて俺の背中にポンポンと二回叩かれる感じがした。
痛くなかったが背中をさすりってポポの家に駆け出していった。