太樹と紀久2-3
「うん」。案外素直にいうと、太樹は一転、遠慮がちにそろそろと紀久の内部をこすり始めた。目は相変わらず画面から離さなかったが、四つんばいの紀久に太樹の視線は見えない。紀久は、太樹の太棹がツボに当たるよう姿勢を調整する。息さえ合えば、修也より太樹のものの方が、当たりやすいことに紀久は気づく 。強烈な快感が再び紀久の脳髄を貫いた。体が震え、目に涙が浮かぶ。
「わ、俺はいいって」。太樹の声がした。
修也が残りの潤滑剤を手に塗り、前後に動いている太樹の後ろにあてがったのだ。
「ちょっと揉んでやるだけ。気持ちいいから」。紀久の後ろに入れながら、自分の後ろを修也の指で責められるのは変な感じもしたが、意外に気持ち良くて、太樹はすぐいってしまいそうな気がした。ペースを落とし、快感を長引かせる。すると紀久は自分からぎこちなく尻を使って、太樹のそれを求めてきた。太樹が 自分の中にいると思うとうれしかった。
「ああ...」。紀久のそこは指一本触られていないのに、亀の口からドクドクと白い線を吐き出した。そして、紀久の根元がまだヒクヒクしている間に、太樹にもその時が近づいた。テレビで生徒が先生の中から抜いて、顔に掛けるのと同時に太樹も紀久の中で果て、腰の動きを止める。紀久は、そのまま床の上にく ずおれてしまった...。
...紀久がかすかに目を開けると、太樹の顔がすぐそばにあった。キスするんだろうか、シューさんみたいに。
「大丈夫? うなされてたぞ」
うなされてた...?
「脂汗かいて、涙流して」
床ではなくベッドの中にいることに、紀久は気づく。太樹の部屋だ。アンダーシャツにパンツ一丁で、上には何も掛けずに横たわっている。
「でも、気持ちよかったんじゃない?」。太樹がニヤニヤして聞く。
「夢精ってすげえ気持ちいいってきいたことあるけど、どう?」。言われて恐る恐るパンツの中に手を差し入れる。大量のヌルヌルが手にまとわりつき、栗花の香がプーンと匂い立った。
「んんん...」。紀久は枕で顔を隠した。すかさず枕を奪い取り、太樹は、
「何か、あえいでたぞ。どんな夢?」と追及する。
「シューさんと太樹さんにウシロに入れられて、いっちゃった夢」なんて死んでもいえない。紀久は、へへっとごまかし笑いをした。
「すけべ!」。決めつけるようにいうと、笑いながら太樹は部屋を出て行った。
なぜこんな夢を見たのだろう。この家のリビングで、変な映像を見すぎたせいだろうか。保健室の先生のは確かに最近見たけど、あの時いたのはシューさんじゃなくて、山岳部の感じのいい先輩だった。触ってきて、手でいかされた。お返ししないわけにいかないから、手でやってあげたら、すごく喜んでた。その間、 太樹さんは知らん顔でテレビばかりのほうばかり見て、しごいてた...。
朝、紀久が学校でサックスの練習をしていると、太樹が、サッカー部の後輩・昂介にリフティングをやってみせていた。もう夏休みで、太樹は引退しているはずだが、部にはちょくちょく顔を出している。リフティングが大の得意らしい。足、ひざ、胸、頭へと意のままにボールを扱って、ほとんど曲芸の域に達してい る。生き生きと動く、むしゃぶりつきたいような太ももから紀久は目が離せない。昂介もリフティングに挑んでみるが、こちらは全然つながらず、すぐ地面に落としてしまう。紀久は太樹に惚れ直すと同時に、太樹を独占している昂介に嫉妬した。