投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

陽だまりの詩
【純愛 恋愛小説】

陽だまりの詩の最初へ 陽だまりの詩 91 陽だまりの詩 93 陽だまりの詩の最後へ

陽だまりの詩 13-5

くっそ、やきもきするぜ。

男ならスパッといけや。

まあそれにしても…約束のためにキスなんてものを断るとは、やっぱり小僧は小僧だな。

おもしれえぜ。

「あ、奏は私がフォローしておいたので誤解は解けてると思います」

妹も苦労してるな。

「……ってことは、やっぱり小僧次第じゃねーか」
「…そうですね」
「……いっちょ目ぇ覚ましてやるか」
俺はゆっくりと立ち上がる。
「……ありがとな」
「……いえ」
俺は肩を回しながら病室を出ようとした。
「待ってください!!」
「あ?」
振り返れば妹が目の前にいた。
そして頭を深く下げて言った。
「兄貴を…もう殴らないでください!」
「……」
「兄貴はバカだし、気に入らないのもわかります!でも、兄貴が殴られているのはもう見たくないんです!」
「……」

小僧は本当に愛されてやがるな。

いや、小僧が頑張ったから今があるのか。

俺はこの瞬間、あることを決心した。


「殴らねーよ」


妹、俺は誰にも言わないがな。

もうすっかりあの小僧がお気に入りなんだよ俺は。

やっぱり今はもう、あいつ以外に奏を任せることは考えてねえ。

そのためには、やっぱりあの小僧の目を覚ましてやるしかねーのな。


「殴らねーから安心しろ」
「は…はい」
妹はきょとんとしたまま俺を見送った。


陽だまりの詩の最初へ 陽だまりの詩 91 陽だまりの詩 93 陽だまりの詩の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前